東京大学大学院 航空宇宙工学専攻 平成25年の航空宇宙システム学(午後)についての総評と難易度、解答の指針についてまとめたいと思います。
本問の収録先商品は以下です。
航空宇宙システム学<https://gakumon-tobira.stores.jp/items/679620e7bfa2872ebcae4fde>
総評
本問では地球周回軌道上でターゲットにチェイサーが近付くという状況設定を題材とした制御工学が出題されました。
出題構成としては、状況設定に応じて伝達関数と極の導出、システムの状態方程式の記述と可観測性・可制御性が問われるという鉄板中の鉄板の内容が出題されています。しかも伝達関数の導出においては事前に本問の運動に関する微分方程式を与えるという親切仕様になっています。ここまでは完答を狙いたいところです。
最後の問題は少し難易度が高めです。ある初期値を与えた時に、チェイサーが元の位置に戻ってくるときの状態ベクトルの成分を求める…というものです。おそらく出題者が一番見たかったのはこの問題の考え方でしょうね。
本問のトピックは昨今話題になっているデブリのキャプチャーに向けたアプローチやISSと宇宙船(Crew DragonやProgress)とのランデブードッキング問題を考えるときの基礎になるものです。
2025年にはHTV-Xの打ち上げも予定されていることから、2025年・2026年あたりはこの手のトピックが狙われるのではないかと疑っています。
是非本問を通してしっかり考え方を理解しておきましょう。
難易度 ★★★☆☆
一見すると見慣れない問題ではありますが、最後の問題以外は誘導も丁寧で解答方針も特に見通しレベルで困ることはないと思います。
最後の問題は解けない人も出てくるかもしれませんが、ここだけの失点なら合否を大きく分けるような差はつかないようにも見えます。但し、完答できれば多少のリードは得られそうです。
以上より、全体的な難易度としては標準レベルの★3つとしました。
解答の指針
第1問
問題文より、F1=F2=u(t)なので、これをまずは与式に入れましょう。同様にy=x2(t)という条件も問題文で与えられているので、これも与式に入れましょう。あとはラプラス変換して式を整理すれば伝達関数は導出できるでしょう。
初期値がどうなるかも考える必要があります。
この問題はかなり丁寧に誘導がついている印象を受けます。
第2問
1.
問題文で状態ベクトルの定義が与えられているので、これと与式を使って状態空間表現をしましょう。
後は問題文で与えられている形に式を合わせて該当する行列やベクトル成分を解答すればOKです。
2.
4×4の行列になるので計算が大変ですが、教科書通りの戦略で回答できます。可観測性行列、可制御性行列を求めれば後は行列式の結果で評価できます。
計算ミスに注意をしましょう!
第3問
これが鬼門となるでしょう。
まずは与式に本問の入力条件を入れて整理する必要があるでしょうね。最終的に初期状態ベクトルの成分を求める必要があるので、どうにかして与式の微分方程式を解く必要があるでしょう。
解答の途中で積分定数が出てくると思うので、これらの定数と初期状態ベクトル、及び問題文で与えられた条件を整理して定数を具体化ないし、消去していく活動が求められます。
原則として(文字数)≦(方程式の数)の関係性が満たされていれば、問題は解けます。(文字数)<(方程式の数)が成り立つ場合は条件過多になるので、求めた文字がすべての条件を満たしているかを確認しておく必要があるでしょう。
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