東大 航空宇宙工学専攻 平成24年 推進工学(午後)

推進工学

 東京大学大学院 航空宇宙工学専攻 平成24年の推進工学(午後)についての総評と難易度、解答の指針についてまとめたいと思います。

本問の収録先商品は以下です。

推進工学<https://gakumon-tobira.stores.jp/items/67962672816e614726a61364>

総評

 本問は熱力学と伝熱工学の融合問題となっております。但し、伝熱工学は小問4問構成のうち、最後の1題のみなので、伝熱工学の対策をしてなかった人は第3問のみを捨てるという感じになるのかなと思います。

 良くも悪くも、この第4問は受験生の合否に影響を与えてそうな印象を受けます。そこまで難しいことを問われているわけではないので、伝熱工学も対流伝熱、輻射伝熱、伝導伝熱の基本的な微分方程式は使いこなせるようにしておく必要があります。

 全体としてはそこまで難しいことを問われているわけではないので、第4問の出来具合によらず、それなりに時間を節約できたのではないかなと推測しています。

難易度 ★★☆☆☆

 過去問の傾向的にも出題頻度の低い伝熱工学分野からの出題がされていますが、いずれの小問も基本事項を聞いてきているだけなので、難易度としては易しめだと考えています。よって★2つとしました。

 おそらく出題者側も第4問の正答率が低くなりそうと予想して第1問、第2問、第3問を比較的低めの難易度にしたのではと推測しています。

解答の指針

第1問

 可逆サイクルの熱効率について聞いてきています。”可逆サイクル”という言葉が何を意味しているのか考えてみましょう。

第2問

 第1問で熱効率を温度で表現しているので、恐らく前問の答えを使うのでしょう。まずは熱効率の定義に従って、気体の吸収した熱量と気体のした仕事の関係式を作りましょう。

 それができたら、第1問の結果を反映して式変形を進めれば答えを得るために必要な条件が自ずと見えてきます。

第3問 

 問題文で与えられた条件を前問の仕事Wが最大となるときの式に反映すれば答えが出ます。

第4問

 熱放射板Rの温度がTrから50%増加した場合の熱放射板の面積比がどうなるかを聞いてきています。ヒントとして低温熱源から熱放射板へ移動するサイクル当たりの熱量が式で与えられています。

 問題を簡単にするために伝導伝熱のみを考えればよいという前提にしているようです。

 前問の結果と問題文の条件を組み合わせてまずはTrとT1の関係式を立式する必要があります。これができると第2問の結果を用いて、T2とTr、T1との関係式が立式できます。

 これらを用いると熱放射板における放熱量の比が出せると思います。放熱量の比は…放熱板の面積増減比に等しいので、この関係性を使って答えが出せます。

 なお、宇宙空間では衛星内部のコンポーネントの動作による発熱が伝導伝熱により(ヒートパイプなどを通して)ラジエータ等の熱放射板に伝わり、放熱されますが、熱放射板自体は太陽光からの輻射伝熱による熱入力も考慮する必要があると思います。

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