東京大学大学院 航空宇宙工学専攻 平成16年の推進工学(午前)についての総評と難易度、解答の指針についてまとめたいと思います。
本問の収録先商品は以下です。
推進工学<https://gakumon-tobira.stores.jp/items/67962672816e614726a61364>
総評
翼の上下面をばねで接続して一様流を流した時の翼の振動の様子を観察するという状況設定の問題が出ています。一見とっつきにくい印象を受けますが、そこそこ丁寧な状況説明が問題文に書かれており、小問を5問構成にすることで部分点を取りやすくしているという問題です。
流体力学の基本的な考え方と振動工学の理解ができていれば解答できます。
融合問題ではあるものの、出題者からの誘導にうまく乗ることができれば点数を稼げるでしょう。
本問は風洞実験を意識した問題構成なのかなと感じました。翼の前方から風を当てると翼には揚力が発生しますよね?但し、今回は翼の上下面がばねで接続されているので、揚力が発生するとばねによる復元力により翼が振動します。
難易度 ★★★☆☆
計算量は少ないですが、この見慣れない設定にどこまで対応できるかが問われる1問となりました。出題者からの誘導や小問を多めに設定して部分点を稼ぎやすくしているという点も考慮して、難易度は標準的な★3つとしました。
解答の指針
第1問
与えられたモデルに対する立式をする問題です。いつもの流れですね。ここをミスると後の問題をすべて失点することになるので、慎重に立式しましょう。
こういった見慣れない状況設定については特に図は描いた方がいいですね。たとえ問題文で与えられた図と同じものを描くことになったとしても、自分で図を描くことで問題設定の見落としを防ぎやすくなるという利点もあります。
第2問
ここも立式をするにあたって図を描いた方がわかりやすいと思うのでお勧めします。
第3問
問題文にわざわざ翼の振動が微小振動である旨が記載されています。揚力係数を平均迎角周りに展開せよ…と言っているので、テー…おや…誰か来たようですね…。ヒントはここまでです。
第4問
系の運動方程式を基に微小変位に関する方程式を導出するよう指示が出ています。そして、またまたご丁寧に系の変位は平均成分と微小成分に分解するというヒントが与えられています。
これまでの問題の流れを踏まえれば第1問と第3問の考え方を組み合わせれば解けそうです。
第5問
おそらく出題者はこの第5問を解いて欲しかったのでしょうね。第4問までの結果を基に考察をしてほしそうです。
総評の項目でも少し言及しましたが、翼に揚力が発生するから振動するわけです。翼に風を当てても揚力が発生しなくなるときは…どんな時でしょうか?考えてみてください。
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