東京大学大学院 航空宇宙工学専攻 平成22年の推進工学(午前)についての総評と難易度、解答の指針についてまとめたいと思います。
本問の収録先商品は以下です。
推進工学<https://gakumon-tobira.stores.jp/items/67962672816e614726a61364>
総評
この年は典型的なばね-マス系の問題が出題されました。良く見る問題設定なので、この問題を選んだ人は多かったのではないかなと思います。但し、それなりに計算力は必要なので、計算ミスの有無で差が出たかもしれません。
2つの異なる質量をもつ玉がばねで直列に接続されているという問題設定です。運動方程式の立式から、固有振動数、固有振動モードなどを聞いてきています。
振動工学分野の対策をしっかりやっていれば十分回答はしていけると思います。
難易度 ★★★☆☆
総評でも少し述べましたが、振動工学分野の勉強をしたことがある人なら必ず1回はやったことがあるのではないかと思うほどのよくある問題設定です。
計算が少し面倒ですが、解答方針も立ちやすい上に小問の構成で部分点も取りやすくなっているので、できなくはないと思います。
難易度としては標準的な★3つとしました。
解答の指針
第1問
時刻t<0で点Oがばねから受ける力を表現するという問題です。要するに題意のシステムが静止しているときの状況を正しく把握できるかを問う問題ですね。
図を描いて丁寧に回答してきましょう。なお、本問については2つの考え方を解答例で紹介しました。
(解法1)
問題文で与えられた図に従って天井(点O含む)、物体A,Bにかかる力をすべて丁寧に書き下して立式する。
これが一番のオーソドックスな解法になります。
(解法2)
物体A,Bを1つの物体とみなして点Oにかかる力を考える。
この問題はあくまで点Oにかかる力がいくらかわかればよいという点です。つまり、点Oの下に物体が何個ぶら下がっていようとも、点Oに接続されているばねにかかる力(より正確に言えば、ばねの変位)の合計が分かれば点Oにかかる力は計算できます。
解法1と異なり、物体A,Bをまとめて図を描き直すことになるので、システムの構造を簡略化できます。立式も簡単になるので、解答が早くなるとともに計算ミスの可能性を減らせるというメリットがあります。
第2問
物体A,Bがそれぞれ変位したと仮定して式を立てていけば答えは出ます。
第1問で解法2を使った場合、第2問向けに図を描き直すことになると思います。第1問の解法1,2でどちらを使った方が良いのかは人によるのかもしれません。
見直しをする際には解答で利用した解法とは別の方法で検算しておくと解答の信頼性が担保しやすくなると思います。
そういう意味ではどちらかの解法のみを知っておくというより、どちらも使えるようにしておく方が有益だと思います。
第3問
第2問の結果を基に行列表示をして計算を進めるとよいでしょう。ここは参考書でさんざん勉強する考え方がそのまま適用できます。
この問題では固有振動数を求めるよう指示が出ていますが…問題文の趣旨を考慮すると固有角振動数を出してほしそうな印象を受けました。
なので、解答としては固有角振動数と固有振動モードを解答として表現しています。個人的にはこの問題文の表現は受験生に混乱を与える文章と感じるので非常に不満でした。固有振動数と固有角振動数の言葉の使い分けと定義はしっかり理解しておきましょう。
第4問
第3問で表現した行列式に外力が加わった場合を考えます。特に難しいということはなく、問題文の条件を数式に反映したらひたすら計算を進めていけばよいです。
解答自体は1本道ですが、計算量はそれなりにあるので、注意しましょう。
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