東大 航空宇宙工学専攻 平成26年 推進工学(午後)

推進工学

 東京大学大学院 航空宇宙工学専攻 平成26年の推進工学(午後)についての総評と難易度、解答の指針についてまとめたいと思います。

本問の収録先商品は以下です。

推進工学<https://gakumon-tobira.stores.jp/items/67962672816e614726a61364>

総評

 今回は弦の振動を題材にした問題が出題されました。この問題は推進工学でもたびたび出題されるのですが、固体力学でも出題されます。複数の専門科目分野から出題される可能性が高いトピックですので、対策のコスパはすごくいいですね。

 本問は全部で4題構成になっており、そのすべてが第1問の偏微分方程式を利用する問題です。弦の振動特性と偏微分方程式に対する理解があれば大半の問題は対応できるようになっています。

 この問題もそうですが、大体は弦の微小領域に着目して力のつり合いなどを立式します。弦のy軸方向変位は位置xと時間tによって変わるので、偏微分方程式が出来上がります。

 なので、この問題の多くは最終的には偏微分方程式を解くという作業に帰結します。他の大学の機械系の院試対策では専門科目も含めて偏微分方程式を解く機会はあまりないように感じます。

 ただし、東大においてはそこそこの頻度で使うので、偏微分方程式の対策は必須と言えるでしょう。

難易度 ★★★☆☆

 第3問、第4問が少し難易度が高めかもしれませんが、基本的には偏微分方程式と弦の振動に関する考え方をしっかり復習していれば対応できるような構成になっています。

 また、固体力学でも出題される可能性がある分野なので、多くの受験生はこの問題を選択して、かつそこそこ高い得点率をたたき出したのではないかなと推測しています。

 頻出のトピックではあるものの、後半の難易度上昇も考慮して、本問全体としては標準的な★3つとしました。

解答の指針

第1問

 偏微分方程式の導出です。弦の微小領域に着目して力のつり合いを考えましょう。

 また、本問は導出結果の式が与えられているので、万が一解けなくても第2問以降は第1問で与えられた導出結果の式を利用して問題を解いていくことができます。

 問題文で弦の振動が微小である旨が記載されているので、近似処理してモデルを線形化するという推測までは容易にできると思います。

第2問

 第1問で導出した偏微分方程式を解くための誘導問題です。問題文に記載の通り、y軸方向変位の関数を仮定して偏微分方程式を常微分方程式に変形します。

 典型的な解法なので、第2問の誘導がなくても第1問を基に式変形をして、初期条件を代入して解答を導出できるように練習はしておきましょう。

第3問

 第2問の結果と弦の両端が固定端であるという条件を基に初期条件を割り出していきます。後は式変形を進めていけば答えにたどり着けるのですが、そこそこ計算量が多いです。

 計算ミスをしないよう注意しましょう。

第4問

 これはちょっとしんどかったかもしれませんね。t=0でのy軸方向の変位と速度を仮定して計算を進める必要があります。

 もう第3問の誘導と第4問のクロネッカーデルタ関数の説明を見て察した人も多いと思いますが、計算の過程で第3問の結果に対して三角関数の和積の公式を適用するという推測ができると思います。

 計算に際しては第4問特有の問題設定があるので、初期条件で反映させて式変形を進めるとよいでしょう。

コメント

タイトルとURLをコピーしました