東大 航空宇宙工学専攻 平成27年 推進工学(午後)

推進工学

 東京大学大学院 航空宇宙工学専攻 平成27年の推進工学(午後)についての総評と難易度、解答の指針についてまとめたいと思います。

本問の収録先商品は以下です。

推進工学<https://gakumon-tobira.stores.jp/items/67962672816e614726a61364>

総評

 平成27年の推進工学(午後)はロケットの推進の仕組みに関する考察が出題されました。ロケットの推進と言えば、やはりツォルコフスキーの式ですかねぇ。

 今回の問題では、このロシアの偉大な科学者が発見した式を使って遊ぶ機会が設けられています。

 最初は簡単なモデルを使ってロケットが燃料を消費しながら推進する仕組みを考察させてきていますね。その後は実際に宇宙機を推進させるためのモデルを考察させ、ロケットエンジン2台を噴射させたときの速度増分を求める問題、そして最後にエンジン噴射の効率性に関する考察を求めてきています。

 ロケットの推進の仕組みは参考書はもちろん、ネットで検索してもたくさん情報は出てくるので、この問題を通して色々調べてみるとよいでしょう。

難易度 ★★★☆☆

 少し見慣れない問題かもしれませんが、それほどマイナーなトピックでもないので、多くの受験生は解いてきたのではないでしょうか?

 他の専門分野の問題と比較しても回答の見通しは立てやすく、計算量も控えめなので、選択した受験生は多いのではないかと推測しています。

 以上より、本問の難易度は標準的な★3つとしました。

解答の指針

第1問

 地上モデルでロケットの推進の原理を考察させるという問題です。第2問以降のモデルを理解させるための問題という位置づけですね。

 出題者の丁寧な誘導が見て取れます。図を描いて状況を整理して立式しましょう。

 第2問以降と連動しているわけではないですが、この問題の考え方がわからないと第2問以降の解答は厳しいのではないかなと思います。

第2問

 続いての問題は宇宙機が宇宙空間で推進剤を噴射した際の速度増分を考えるという問題です。推進剤の噴射が第1問における台車から石を放出する行為に対応していますね。

 基本的な考え方は第1問と同様です。

 なお、解答例では気合が入ってここだけ図のクオリティが上がりました 笑(余裕があったら他の図のクオリティアップも考えます。)

第3問

 ロケットに搭載された2段のエンジンを同時に噴射した時の速度増分を考える問題です。

 残り時間次第ですが、時間的に余裕があるなら、エンジン1基だけ噴射した場合を最初に考えるとイメージしやすいかもしれませんね。

 これはロケットの飛行を考えるうえで非常に重要なトピックですね。ロケットの中にはエンジンを複数台同時に噴射するクラスター型のエンジンが搭載されているものがあるのです。

 実際にクラスターエンジンのメリットデメリットをこの問題で論じているわけではないのですが、本問の勉強をきっかけに是非そちらの方も知見を広げてもらえると嬉しいです。

第4問

 この問題は…ある程度答えの予測がついていない人は色々思考実験をしないといけないですね…。出題者もそれを望んでそうな気はしますが、時間は有限なので、第3問まで解いた後の残り時間でどこまで手を付けるかを判断するとよいでしょう。

 過去問演習で本問に手を付けている人は是非色々計算して比較検討してみて欲しいです。パッと思いつくのは、2基同時噴射、有効排気速度の大きい順に噴射、有効排気速度の小さい順に噴射…あたりですかね。

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