東大 航空宇宙工学専攻 平成24年 固体力学(午後)

固体力学

 東京大学大学院 航空宇宙工学専攻 平成24年の固体力学(午後)についての総評と難易度、解答の指針についてまとめたいと思います。

本問の収録先商品は以下です。

固体力学<https://gakumon-tobira.stores.jp/items/679621f8bfa2872edfae50a9>

総評

 サンドイッチ梁に関する考察が題材となりました。材料力学や弾性力学、塑性力学では多くの場合、単一素材の構造物ないし、部材を基に考察・解析するものが多かったと思います。

 力のかかり具合やモーメント及び微小領域における応力の考え方を学ぶ上では材料の種類を変えるというのは問題を複雑にするだけだからです。

 但し、現実問題として、合板やハニカムパネル等、複数の材質からなる構造物や、加工法を変えた部材の組み合わせを利用することはそれほど珍しいことではないです。

 出題者はそうした実学を意識した問題を出題したくて今回のような題材を選んだのかなと感じました。

 しかしながら、受験的な観点で見ると、やはり難易度は高めになると言わざるを得ません。過去問の出題実績や参考書の掲載トピックを考慮すると、本問の正答率はそれほど高くないのではないかなと推測しています。

難易度★★★★☆

 総評で述べた観点に加え、そもそもの出題傾向として、塑性力学分野の出題がそれほど頻繁ではないことから、多くの受験生は本問のようなトピックについてもそれほど多くの対策をとってなかったと筆者は思っています。

 そうした状況と解答作成の見通しの悪さを踏まえて、本問の難易度は難しめの★4つとしました。

解答の指針

第1問

 まずは、対象となる部材が弾性領域内で変形することを考えます。問題文を踏まえると、曲げモーメントを定義に従って導出すると…与式と組み合わせることでEIに関する方程式ができそうですね。

 但し、今回は複数の部材が重なっているので、これを考慮に入れて計算を進める必要があります。

第2問

 ここからは少し考えないといけません。表板の一部が降伏し始めるときを考えると問題文には書かれています。

 図2を見ると…どうやら表板は降伏が始まる状態ですが、裏板とコア部材は降伏していない(弾性変形中)という状態のようです。

 というわけで、図2を使って表板が降伏状態に差し掛かるポイントに注目して、歪、曲率、高さを用いて立式ができそうですね。

第3問

 第2問との違いは裏板も降伏している点です。(コア部材は降伏しない)これを基に第2問との違いを意識して解いてみてください。

第4問

 部材の表板、裏板が全域降伏した後、曲げの力を取り除いた後の残留曲率を求めるという問題です。当然ながら、部材の表板と裏板は降伏していたので、曲げの力を取り除いても元の状態には戻りません。

 まずは塑性歪成分が塑性領域にいるのか弾性領域にいるのかを調べる必要がありそうです。残留曲率を求めよとのことなので、残留曲率と曲げモーメントの関係式が導出できるはずなので、これをうまく利用すると答えにつながりそうです。

コメント

タイトルとURLをコピーしました