東大 航空宇宙工学専攻 平成22年 固体力学(午後)

固体力学

 東京大学大学院 航空宇宙工学専攻 平成22年の固体力学(午後)についての総評と難易度、解答の指針についてまとめたいと思います。

本問の収録先商品は以下です。

固体力学<https://gakumon-tobira.stores.jp/items/679621f8bfa2872edfae50a9>

総評

 今回は弦の振動が題材となりました。固体力学でしばしば取り上げられるだけでなく、推進工学でも出題される超重要トピックになります。

 そのため、多くの受験生がこの手の問題の対策をしてくると考えていますので、本問を選びなおかつ高得点を出してきた受験生は多かったのではないかと推測しています。

 全般的に見ればとっつきやすい題材であるとともに、計算方法も込み入ったものではないので、しっかり得点していきたいところです。(第7問は少し計算量が多くなっています。)

 両端を固定した弦を振動させ、運動方程式を用いた振動考察が本問の中心的な問いとなっています。

難易度★★★☆☆

 東大航空宇宙工学専攻では見慣れた題材であり、この問題の失点は他の受験生に大きく差をつけられる原因となりかねないものなので、失点を防げるよう注意した方が良いでしょう。

 初見での対応となるとそれなりに苦しい解答作成になりますが、出題傾向的に頻出トピックとなっているので、ほぼすべての受験生が対策してきていると考えられます。

 計算量や考え方を考慮すると気持ち的には易しめと言いたいですが…全体的に見れば丁寧に図を描いて状況を整理しないと解きづらくなっていますし、近似計算などの数学的な処理も適切に進めないと正答できないようになっています。

 以上を踏まえて、本問の難易度は標準的な★3つとしました。

解答の指針

第1問

 図1の状態で弦にかかっている力を図示して歪と応力の定義に沿って式を整理すれば答えが出ます。

第2問

 弦の中心位置に外力が負荷された状況を図示するとよいでしょう。この図に従って外力Pを張力Tで表現できれば第1問の検討結果を利用して答えが出せます。

 なお、変位量は微小なので、近似計算を必要に応じてする必要があるでしょう。

第3問

 第2問の応用で、弦の中心位置に質点を追加します。この質点に関する運動方程式をまずは立てる必要がありそうです。

 立式できたら、この式を基に固有振動数を求めていけばよいでしょう。

第4問

 質点を付加した弦が大振動をする場合の考察です。問題文の通り、微小近似が成立しなくなるので、微小振動をする場合との比較考察をしましょう。

第5問

 これは他の東大の過去問でもさんざん出題された問題です。弦の微小領域に着目して、弦にかかる力とその方向を図示して力のつり合いの式を立式しましょう。

 最終的には弦の外力と張力、y方向変位による偏微分方程式が導出できるはずです。

第6問

 まずは問題文の指示通り、外力を慣性力で置き換えてみましょう。その後、第5問の結果に代入すると見慣れた弦の振動に関する偏微分方程式が導出できます。

第7問

 これが本問の中で一番重たい問題ですね。残り時間を考慮して必要なら部分点狙いで捨てるのもありかもしれません。

 ただ、問題文の指示通り、第6問で導出した偏微分方程式を解くだけなので、計算量は少し多いですが必要な処理は決まっているので、できれば完答したいところです。

 

 

 

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