参考書の使い方

大学院入試

 この記事では参考書のお勧めの使い方を紹介していきたいと思います。以前当ブログでは「参考書の選び方」という記事でどんな参考書を使ったらいいかについて説明しました。そちらも併せてご覧いただけるとよいかと思います。

参考書の役割

 勉強をしたことがあるという人はほぼ例外なく参考書というものを使用した経験があるかと思います。参考書は利用目的が違えば、選び方も使い方も大きく変わってきますので、本記事にて参考書の主な目的とそれに応じた使い方をまとめてみました。

 参考書に求められる役割は様々ですが、大きく分けると以下のような分類ができると考えています。

参考書の種類位置づけ対象者
1. 教科書の補助授業理解の促進
学習事項の理解
授業が分からない人
独学する人
2. 問題集2-1. 基礎学習内容の定着
理解強化
基礎演習をしたい人
2-2. 標準入試の標準問題の
演習をしたい人
2-3. 発展応用力の醸成
理解強化
得意科目として
やりこみたい人
3. 辞書的な利用学習内容の詳細理解
関連知識の強化
高難易度入試問題に
対応したい人

 では、順番に詳細を見ていきましょう。

  1. 授業や教科書の補助として利用する参考書
     多くの場合は先生が配る授業プリントであったり、学校から指定された補助教材などがこれに当たります。
     また、独学で学習内容を補完していく場合は以下の2-1で説明したような演習書と併せて学習するとより効果的です。
  2. 問題集
    2-1. 基礎問題集
     ”基礎問題集”は文字通り基礎的な理解を深めるための問題集です。1項で学んだ内容の理解を強化するために使います。

    2-2. 標準問題集
     入試問題を解くにあたり、多くの合格者が正解してくるレベルの問題をここでは”標準問題”と定義します。2-1項で定義した問題集を一通りこなした後、より汎用的な対応力をつけるために利用する参考書になります。

    2-3. 発展問題集
     入試問題の中でも得意科目としている受験生が解いてくるレベルの問題がこの”発展問題”になります。一部の超難関大学、大学院でない限り、必ずしもこのレベルの問題とやりこむ必要はないと思いますが、得意科目であれば手を出すべきタイプの問題集になります。
  3. 辞書的に活用する参考書
     このタイプの参考書は教科書にはほとんど載っていないが、関連性のあるトピック、大学・大学院の授業で習うような発展的な知識の補完を目的とするタイプの参考書になります。

どういう使い方をすると効率的なのか?

  前項の分類を基に私のお勧めする参考書の使い方について説明していきます。

  1. 授業や教科書の補助として利用する参考書
     参考書や授業プリントに記載されている内容のうち、特に重要と思うものについてはマーカーなどで線を引くか、ノートに自分で図や表を用いてまとめてみるとよいと思います。

     但し、ノートにきれいにまとめることに注力しすぎると本末転倒なので、自身の成績を向上させるうえでコスパが悪いと判断したら参考書やプリントに直接補足内容を書き込むという方法でもよいかと思います。(あくまで効率よく実力を伸ばすのが目的かと思いますので)

     また、独学で学習内容を補完していく場合は以下の2-1で説明するような参考書とそのやり方で併せて学習するとより効果的です。
  2. 問題集
    2-1. 基礎問題集
     基礎問題集はこの先やる標準問題・発展問題、入試問題に対応する実力をつけるための重要な土台になるので、特に入念にやりこみましょう。

     お勧めの問題集のやり方としては、まず一通り問題を解きます。大問1題ごとに丸付けと解答・解説の確認をしますが、この時に間違えた問題は×、大問丸ごと完答したものは〇などと印をつけておきます。(解答・解説を読んでもわからなければ友人や先生に質問しましょう。)
     
     解答解説を読んで自分の間違えた原因がわかったら、その場でもう一度間違えた問題だけでいいので自分で手を動かして解きましょう。また、翌日は復習として間違えた問題だけを1度やり直して、間違えたら同じように解答解説を読んだ後自分で再度やり直しましょう。

     上記のやり方で一通り、問題に〇、×がついたら2週目以降は×がついた問題だけをやり直し、〇×の記録を更新します。この作業を最終的に×の問題がなくなるまで繰り返します。こうすることで、自分の苦手とする問題ほど、やりこむ回数も増えるし弱点補強につながります。

    2-2. 標準問題集
     基本的なやり方は2-1で示した勉強法と同じ要領で進めてよいと思いますが、難易度が上がっています。なので、解答解説を読んで自分の間違えた原因がわかったら、もう一度自分で解き直すという行為を特に重視してやるとよいでしょう。

     また、解答解説の内容で理解が不足しているようであれば下記3項で示す参考書や資料集を読んで補足事項や自分の間違えた原因などを解答解説のページにメモしておくとよいと思います。
     
     苦手な問題程、2週目以降で関連知識や苦手な問題の解き方を集中的に復習できるのでお勧めです。

    2-3. 発展問題集
     高難易度の問題をやる際には参考書に載っている問題をすべてやるのか、得意としている分野だけをやるのかなど、問題集をやりこむ方針をあらかじめ決めておくことをお勧めします。

     というのも、発展問題集ともなると1題あたりにかける時間も多くなり、コスパも悪くなってくるからです。高難易度の問題をやりこむ方がいいのか、他の苦手分野(科目)の対策をした方がいいのか、あるいは入試の過去問をやる方がいいのかを考えるとよいと思います。

     基本的な問題集のやりこみ方は2-1で示した方針でいいと思いますが、数学や物理(大学生の場合は専門科目)については別解がないかの検討をしてみると実力が付きます。

     別解が見つかった際、解答解説に記載がない場合は友人や先生と解答の考え方についてディスカッションをするとよいでしょう。(経験上、別解を考える癖をつけておくと初見の問題を解く際や試験本番の時間を短縮したいと考える際、検算などをする際に特に威力を発揮します。)
  3. 辞書的に活用する参考書
     この手の参考書は買った後すぐに通読するというよりも、上記の1~2項の参考書をやるうえで気になったトピックや詳しい記載が載っていない場合に使用するとよいと思います。

     また、このタイミングで資料集なども併せて使用して、視覚的に理解しやすい環境を作るとよいと思います。

正解した問題はやり直さなくていいのか?

 前述までの記事を読んだ方は恐らくこんな疑問を持たれたのではないかと思います。

 ”問題集をやる過程で〇がついた問題はやり直さなくていいのだろうか?”

 問題集をやりこむ過程で仮にマグレや勘で正解してしまった場合、次同じ問題をやり直しても間違う可能性は高そうですよね?

 また、人間は忘れる生き物なので、正解した問題も解答手順の複雑なものやあまり普段やり慣れてないトピックに関連した問題だと次は正解できないかもしれない…と思うかもしれません。

 これは持論ですが、参考書というのは同じレベル帯の物を選んでやりこむ限り、類題が存在しています。ある参考書でやった問題と似たような問題設定や考え方を利用する問題が別の参考書で掲載されているというのはよくある話です。

 なので、解き方を忘れているかもしれない正解した問題をやり直すよりは、間違えた問題に注力してさっさと1冊やり込み、別の参考書に手を出した方が実力を伸ばすうえでは効率がいいと私は考えています。

さいごに

 この記事は高校生、大学生を想定して参考書の使い方を中心にまとめてみました。私自身、参考書の使い方については相当な失敗を重ねてきましたが、受験を通して理解したことは如何に基礎的な学習事項を深く理解しているかが重要だと悟りました。

 どんな分野の勉強でも同じですが、基礎はものすごく重要です。学校の授業で習う基礎やそれに基づく例題・演習問題は復習も含めて入念にしておく必要があります。なので、上記の表のうち1、2-1に該当する参考書を利用する際は特に念入りにやりこみましょう。

 多くの場合、基礎的な内容の理解や演習は単調でつまらないと感じるものが多いと思いますが、ここを疎かにするとこの先どんなレベルの学習をしても成績は伸びません。(土台となる知識や考え方の理解が不十分なため、演習のレベルを上げても正答率はあがりません。)

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