当サイトで紹介した「参考書の選び方」では、読者の皆様の目的に応じてどのような参考書選べばいいのかを紹介してきました。また、「参考書の使い方」では、読者の皆様が効率的に勉強を進められるよう、参考書の使い方について私の経験に基づき記事としてまとめてきました。
この記事では、そうした目的別の参考書の中でもどのようなものを優先して取り組むべきかについて記載していきたいと思います。
原則は過去問優先!
私の持論ですが、なんと言っても受験で一番効力を発揮するのは志望校の過去問で構成された赤本等の参考書です!
入試問題は過去問と同じ問題は出ませんが、よく似た問題設定や考え方、関連性のあるトピックが入試本番でも出題される可能性が高いです。(問題をやりこむだけでなく、出題傾向も分析しましょう!)
そのため、受験対策の方針としては如何にして過去問を効率よくやりこめるかという考え方に基づいて戦略を立てるのがいいかと思います。
大学入試においては東大や京大などの一部の難関大学は科目単位で25年分の過去問が収録された参考書もあるのでそちらもやりこむとよいでしょう。一方、大学院の入試においては、専門書などで関連性の高いトピックをおさらいする、演習を積む、あるいは似たような難易度の大学院の入試問題で演習を積むという手もあります。
また、過去問をやりこんでもうすることがないという状態が仮にできたとしたら、本番と同じ時間でやりこんでみる、別解を考えてみる、タイムアタックをする(どれだけ早く解答を完成させられるか)といった観点でもやってみるとよいです。
過去問が難しすぎる!
過去問をやりこむのが効率的なら、最初から過去問をやりこめばよいだろう…と考えたが過去問が全く解けない…解説を読んでも理解が追い付かない…といったことが受験勉強の序盤ではよくあります。
ただ、それでも志望校は早いうちに決めたうえで一度過去問に目を通しておくことをお勧めします。これは最終的に身につけなければならない学力水準を見極めることと、頻出分野を理解しておくためです。
最終ゴールが見えていれば、現時点の学力と比較して学習の段取りも立てやすいですし、出題分野に偏りがあるならその分野により多くの時間を割くことで効率的に合格点を取りに行くことができるからです。
過去問をやり込むまでの段取りを考えよう!
上記を踏まえて、基礎事項の習得から過去問で演習を積むまでの段取りは以下のような流れで実行していくのが効率的だと考えています。必然的にSTEP①→⑥の順に必要となる参考書の優先度が設定されます。
- STEP①:
意外と疎かにされがちなSTEP①。多くの場合、志望校の候補がまだ決まっていないあるいは、優先度の高い志望校が複数校あり、対応方針を決めかねている…といったケースが考えられます。
このような場合は学校の図書館や本屋でもいいので、気になる志望校は一通り赤本を見るようにしましょう!大学院受験であれば、一通り過去問をそろえて中身を見てみましょう! - STEP②:
最も大切なステップです。学習内容が十分に理解できているかを入念にチェックしましょう。授業のノートや配布プリントで理解が不十分と感じるようであれば必要に応じて参考書を用意して読み込みましょう。
また、インプットだけでは理解は深まらないのでSTEP③、④でアウトプットをするようにしましょう! - STEP③:
STEP②と併せて最も大切なステップです。STEP②で学んだ内容が理解できているか、理解した内容に基づいて正しく知識を運用できているかを参考書などを用いてチェックしましょう。
必ず間違えた問題はやり直して完璧にできるようになるまで繰り返し練習しましょう。 - STEP④:
STEP③で学習した内容を土台にして、志望校の過去問を解く準備をします。この時点で既に過去問に手を付けてもある程度の正答率(4~6割程度)を確保できるならこのSTEPを飛ばして過去問をやり始めてもいいかもしれません。
但し、過去問をやるうえで効率が悪い、サービス問題や合格者の多くが正解してくるような問題が解けないようであればこのに戻ってきてもいいかもしれません。 - STEP⑤:
過去問をやり込む際に、間違えた問題が受験生の多くが落としてしまう高難易度の問題なのか、受験生の多くが正解してくる標準的な問題なのかを分析するようにしましょう。
前者であれば、ひとまず落としても致命的なミスにはならないです。得意科目であればSTEP⑥や過去問演習を通してできるようにしましょう。後者であれば、解けないと確実に落ちるのでSTEP③、④の演習と併せてできるようにしましょう。
ある程度演習を積んだら、必ず時間を図って問題を解く練習をしましょう。問題が解けても制限時間をオーバーするようであればやはり落ちます。時間管理は一朝一夕では身につかないので、注意が必要です。
とはいえ、時間管理はある程度実力がついてからでいいので、まずは時間がかかっても正解できるように演習を積む方がいいと思います。 - STEP⑥:
すべての受験科目においてこのSTEP⑥まで実施できることが理想ですが、まずは得意科目を中心に発展問題の演習までをできるように目指しましょう。
但し、試験本番までのスケジュールを踏まえて、準備が間に合わなさそうなら過去問中心の演習に切り替えるか、苦手科目の補強に時間を当てた方が効率がいいように思います。
参考書は質を重視すべきか、量を重視すべきか?
私が受験生の頃、私自身よく悩んでいたトピックです。もちろんできるだけ多くの問題集を完璧にやりこむのが最強ですが、時間も限られているので私は基本的には質を重視することをお勧めします。
より多くの演習を積もうとして焦った結果、色々な問題集を中途半端にやって成績があまり上がらなかったという事態を避けることができます。
私自身、参考書を買っていざやり始めると他の参考書が気になりだしたりすることが良くありました。特に問題集をやるときに見受けられる現象かと思います。
このような状況に陥った際には参考書のやりこむ優先度を設定し、現状手を付けている参考書(問題集)をまず完璧にできるように終わらせるようにするとよいと思います。
但し、手にした参考書(問題集)があまりにも難しすぎて手も足も出ない場合は、いったん中断して難易度の低いものを間に挟むというやり方がいいと思います。(そうした時代を避けるためにも、まず初めに参考書の中身をざっと確認してどの程度正答できそうか確認した方が良いでしょう)
さいごに
本記事では過去問を中心とした演習をすることで効率よく受験対策をするという戦略を提示しました。
この記事で紹介した勉強法は志望校以外の受験対策には弱くなります。つまり、志望校が決まっていればコスパ良く試験の準備が進められる利点がある一方で、過去問の傾向から外れた問題が出題された際には対応しづらくなるという欠点があります。
志望校が早い段階で決まり(あるいは候補が絞られており)、最短で受験を突破するための戦略を立てる際には有効ですが、併願を予定している方や、まだ志望校が決まっていない方は対応が難しくなるかと思います。
そうしたリスクをコントロールするうえで、志望校がある程度明確化できるまでは可能な限り難易度の高い大学、大学院を想定して準備をしておくとよいと思います。対応力も付きますし、後から難易度を下げるのはそれほど難しいことではありません。
長くなりましたが、勉強の方法は人の数だけやり方があります。ぜひ色々な人のやり方を見聞きして試してみてください。
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