東京大学大学院 航空宇宙工学専攻 平成11年の航空宇宙システム学(午前)についての総評と難易度、解答の指針についてまとめたいと思います。
本問の収録先商品は以下です。
航空宇宙システム学<https://gakumon-tobira.stores.jp/items/679620e7bfa2872ebcae4fde>
総評
平成11年ということもあり、令和で出題されている問題と比較すると大分優しいという印象を受けます。本問では定常滑空するグライダーが題材として選ばれていますね。(令和になってからは航空機力学の出題頻度が減ったので一概には比較できませんが…)
この手の問題は定常滑空時に機体にかかる力のつり合いから運動方程式を立式させ、滑空距離を求めるという流れの問題が多いです。序盤で立式する運動方程式が正しく立式できていれば、滑空距離を求めるところまでは教科書通りの式展開で解が求まるでしょう。
また、東大は航空機力学の出題に関連して誘導抵抗に関する説明をよく問うので併せて抑えておくとよいでしょう。
全体として、教科書通りの勉強をしっかりしていればそこそこ点が取れるようになっていますが、最後の(c)についてはかなり技巧的な式変形を要求されます。この分野の勉強に自信がないなら(本番であれば)捨てるのもありですが、完答できると他の受験生と差がつけられる一問になったのではないかと考えています。
難易度 ★★☆☆☆
最後の問題は難易度が高めではあるものの、その他については優しい印象を受けるので、★2つとしました。
解答の指針
(1)
運動方程式を立式後、機体と地上の幾何学的関係を基に滑空距離が最大になるための条件に着目すれば解けます。途中、滑空距離を最大にするための数学的評価が必要になりますが、微分してもいいし、(相加平均)≧(相乗平均)の関係を用いてもよいと思います。
解き方は参考書にも載っている一般的な方針で解決できるので、自身が使っている参考書をよく読み込んでおくようにしましょう。
(2)
(a)(b)は問題文で与えられた条件をうまく使ってやるとそれほど計算せずとも答えが導き出せます。
(c)
これはしんどい。前問で出ていた\[Vdt=\frac{VdV}{\frac{dV}{dt}}\]
の関係を使った後、うまく文字代入をしつつ、式を変形していく必要があります。初見で解くには非常に難易度が高いので、本問や参考書を通して式変形の考え方を学ぶとよいと思います。
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