東大 航空宇宙工学専攻 平成15年 航空宇宙システム学(午後)

航空宇宙システム学

 東京大学大学院 航空宇宙工学専攻 平成15年の航空宇宙システム学(午後)についての総評と難易度、解答の指針についてまとめたいと思います。

本問の収録先商品は以下です。

航空宇宙システム学<https://gakumon-tobira.stores.jp/items/679620e7bfa2872ebcae4fde>

総評

 軌道力学分野では定番中の定番であるホーマン遷移に関する問題です。軌道力学の授業をカリキュラムとして取り入れている大学であればまず間違いなく習うトピックなので、必ず習熟しておく必要があるでしょう。

 第3問以降は宇宙機に搭載されたリアクションホイールを題材にして振動特性が問われています。

 ホーマン遷移は主に惑星周回軌道上で軌道遷移をしたい場合に使うことが多いです。特に地球観測ミッションを中心に周回衛星や静止衛星の軌道設計や運用で使う機会があると思います。

 衛星市場で見ると惑星探査ミッションよりも圧倒的に地球観測や通信ミッションの衛星の方が需要も多く、企業としても利益を上げやすいです。

 なので、衛星開発という観点で見るならスイングバイよりもホーマン遷移のような地球周回軌道に関する知識の方が使う機会は多いと言えるでしょう(研究分野においてどの知識を一番使うかは一概には言えないと思いますが…)。

難易度 ★★★☆☆

 全般的に解答の見通しもしやすく特段ひねったような問題ではないので、そこまで苦労することなく回答はできそうです。

 軌道力学分野の勉強を最初から捨てている受験生でなければ選択しても十分完答はできるでしょう。また、第3問以降は第1問、第2問とは独立しているので、この問題を選択して第1問、第2問が解けなくても第3問以降は取れないとまずいでしょうね。

 というわけで、しっかりホーマン遷移や制御工学、振動工学の復習をしていれば解ける問題なので、本問の難易度は標準的な★3つとしました。

解答の指針

第1問

 宇宙機の質量(一般にはドライ質量と言います)と推進剤の質量、及び宇宙機の速度(速度増分含む)を関連付ける式を立式し、計算を進めましょう。

第2問

 問題文から与えられた情報に沿ってホーマン遷移による速度変化を計算すればOKです。図を書いて整理するとわかりやすくなると思います。

第3問

3.1

 問題文から与えられた情報を基に衛星の回転に関する運動方程式を立てるとよいでしょう。後はそれを式変形して臨界減衰を求めれば解けます。

3.2

前問の結果を利用して計算を進めれば答えを導出できます。

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