東大 航空宇宙工学専攻 平成16年 固体力学(午前)

固体力学

 東京大学大学院 航空宇宙工学専攻 平成16年の固体力学(午前)についての総評と難易度、解答の指針についてまとめたいと思います。

本問の収録先商品は以下です。

固体力学<https://gakumon-tobira.stores.jp/items/679621f8bfa2872edfae50a9>

総評

 今回は薄肉円筒に関する問題が出題されました。薄肉球殻を材料力学で学んだ人は多いかもしれませんが、長手方向に伸びたものと考えれば少し解答方針がイメージしやすくなるかもしれません。

 この題材は東大の航空宇宙工学専攻ではしばしば取り上げられるものなので、よく練習しておくようにしましょう。

 本問はかなり多くの小問で構成されており、受験生が部分点を稼ぎやすいよう出題者から配慮されています。

 受験本番では残り時間を含めて、どこまで点数を取るかを意識して対応すると効率よく点が取れるかと思います。

 なお、問題の後半では熱による薄肉円筒の応力に関する考察をしていますが、ロケットや航空機のエンジン回りも温度が高くなりがちなので、そうした熱入力に対して、薄肉円筒(ロケットや飛行機の胴体部分)がどのように変位するのかを考察するきっかけを出題者は提供しているように感じました。

難易度★★★☆☆

 薄肉円筒は材料力学分野でもそれほど力を入れて学習するところではないので、意識して演習量を増やさないとこの手の問題解答は苦戦することが予想されます。

 一方で、全般的には丁寧な誘導により解答そのものはやりやすくなっており、計算量も小問ごとに見ていけばそれほど多くは要求されていないように見えます。

 以上を踏まえて本問の難易度は標準的な★3つとしました。

解答の指針

1.

(1)

 断面2次モーメントを求める問題です。私の解答では断面2次極モーメントを先に出して、これを利用するという方法をとりました。今回は梁の断面が点対称なので、2次極モーメントを求めることで計算を簡略化することを狙いました。

(2)

 曲げモーメントとせん断力を計算する問題です。梁の位置xにおける断面を考察すると解けると思います。

(3)

 前問までの結果を踏まえて必要な応力成分を解答しましょう。

(4)

 せん断応力の導出です。このままでは考察を進めるのがしんどいので、薄肉円筒の側面部分に着目して微小領域にかかる力を整理するとよいと思います。

 本問の解説では微小領域の着目の仕方の違いを基に解答を2通り用意しました。どちらも大事な考え方だと思うので、両方できるようになると対応できる問題の幅が増えると思います。

(5)

 歪エネルギーの導出です。今、薄肉円筒にはせん断応力と垂直応力がかかっているので、これらに対するひずみエネルギーを計算すればよさそうです。

(6)

 前問の結果を利用して、z軸方向の変位量を計算しましょう。

2.

 ここからは薄肉円筒に熱が加わった時の考察が始まります。

(1)

 薄肉円筒に熱が加わった際の応力に関する考察です。問題文にヒントがあるので、これを基に考察を進めましょう。

(2)

 薄肉円筒先端(A点)のx軸、z軸方向の変位を求めるという問題です。曲げモーメントMとz軸方向の応力の関係から曲げモーメントが求まります。

 あとはこれをzの関数で表現できると…A点でのz軸方向変位は求まりそうです。

 x軸方向についても応力が分かれば…変位量が求まりそうです。

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