東大航空宇宙工学専攻平成22年流体力学(午後)

　東京大学大学院航空宇宙工学専攻平成22年の流体力学(午後)についての総評と難易度、解答の指針についてまとめたいと思います。

本問の収録先商品は以下です。

総評

　平板翼周りの流れの剥離に関する挙動が題材として選ばれました。この問題も粘性流体力学のトピックでは問題として出題されやすい気がしますね。よく復習しておきましょう。

　平板翼周りの非圧縮粘性流を考えます。境界層厚さ、排除厚さに対する理解、せん断応力と排除厚さに関する関係性、剥離のメカニズムが問われています。

　いずれも粘性流体力学の学習トピックとしては扱っているはずの内容なので、解けなかった人は繰り返し復習しましょう。

　参考書に記載されているようなオーソドックスな題材に対し、オーソドックスなアプローチで解答が進められる問題です。

　いずれも問題文を読んで解答方針が全く分からないという状況にはなりにくい問いであること、問われている内容そのものもこの分野を理解するうえでは基本的な内容にとどまっていると考えています。

　また、計算そのものもそれほど多くはなく、大問1題あたりにかけられる時間(見直し込みで1時間)を想定しても十分回答しきれる内容だと考えています。よって本問の難易度は易しめの★2つとしました。

第1問

　近似計算です。題意で与えられた式を基に、各項の計算オーダーを考慮して適宜近似処理をしていきます。この近似計算を進めれば答えは出ます。(この近似計算処理は粘性流体力学では大事な考え方なので、ぜひマスターしてください。)

第2問

　排除厚さと運動量厚さについて簡潔に定義を述べましょう。

第3問

　第2問で与えてくれている定義式に沿って計算を進めましょう。

第4問

　問題文より、必要な数式を与えてくれています。今、一様流Uは一定とみなしてよいので、これをヒントにまずは数式が整理できると思います。

　また、前問の結果を利用するとせん断応力τ_wはθ,μ,Uで表現できます。

　後は数式をひたすら計算していけばよいので、ほぼほぼ数学に対する理解があるかどうかで決着がつきます。

第5問

　平板上面の流体の剥離のメカニズムを図示する問題です。本問も流体の挙動を理解するうえでは重要なトピックであり、スムーズに自分で絵が描けるように繰り返し復習してください。

　流体に粘性があるとき、流体がどのように剥離していくのかを流体の剥離の過程がわかるように丁寧に描写するように心がけてください。