東大 航空宇宙工学専攻 平成23年 航空宇宙システム学(午後)

航空宇宙システム学

 東京大学大学院 航空宇宙工学専攻 平成23年の航空宇宙システム学(午後)についての総評と難易度、解答の指針についてまとめたいと思います。

本問の収録先商品は以下です。

航空宇宙システム学<https://gakumon-tobira.stores.jp/items/679620e7bfa2872ebcae4fde>

総評

 グライダーの滑空に関する問題が出題されました。良くある設定の問題でサービス問題なのかなと考えていた方も多いかもしれません。しかしながら、出題者は後半で向かい風が吹いた際のグライダーの最大到達距離を問うてきており、一筋縄ではいかないように配慮されています。

 グライダーの風による影響を考察させるというなかなか面白い一問でした。実際のグライダーはご存じの通り、向かい風や追い風による影響を受けます。そうした外乱が滑空性能にどのような影響を与えるかはやはり知っておいてほしいと私自身も感じる次第です。

 本問を通して、滑空性能に関する理解を深めていただければと思います。

 なお、本問では問われていませんが、追い風が吹いた際の考察もやっておくようにするとよいでしょう。滑空距離の計算や無風時、向かい風が吹いたときとのCLの比較などを押さえておくとよいでしょう。

難易度 ★★★☆☆

 一見すると見慣れない状況設定が後半から出てきますが、参考書にも載ってないことはないので、図書館や書店で専門書を漁ってみてください。

 それほど難易度の高い工夫が必要というわけでもないことから、標準的な★3つとしました。

解答の指針

第1問

 例によって誘導抗力に関する説明を求めている問題です。簡潔に発生のメカニズム等を説明していきましょう。

第2問

 無風時のグライダーの滑空距離を算出する問題です。図を描いて機体にかかる力を整理すれば教科書通りの計算で答えまで出せます。

第3問

 本問は別解を含めて2通りの考え方を解答例で提示させていただきました。本質的には別解といえるほど大層なものではないですが、参考になれば幸いです。

(解法1)

 無風時の機体の進行方向のベクトルに向かい風のベクトルを合成させて第2問と同様に考える。

この解法をとった人が多いのではないかなと思います。普通に考えれば第2問の結果を利用した方が解きやすいという結論に達する人が多いと想像したためです。

 第2問との違いは、向かい風が吹いているかどうかだけなので、その風による影響を考慮して再度図を書き直せば第2問と同じ論理展開で答えが出せるだろうという予想が立てられます。

(解法2)

 機体の初期位置を原点にして座標軸方向に機体の速度成分を分解し、解を求める。

 この解法をとった人は…あまりいないかもしれないですね…。ただ、どちらの解法でも答えは一致します。本質的には向かい風を含む速度を考慮して機体の速度を成分分解するか、幾何学的な関係に落とし込むかの違いになります。

 対応力を上げるためにも是非この考え方も押さえていただけるとよいかなと感じました。

第4問

 これは…ちょっと計算を工夫しないといけないですね…。この問題は正解できた人とそうでない人がそれなりに分かれたのではないかなと感じます。

 問題文は無風時のグライダーが到達できる最大距離と向かい風を受けているときのグライダーが到達できる最大距離に関するCLについて比較考察を要求しています。両者の比較考察を数式でどのように落とし込めば表現できるかをまずは考えてみてください。

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