東京大学大学院 航空宇宙工学専攻 平成24年の推進工学(午前)についての総評と難易度、解答の指針についてまとめたいと思います。
本問の収録先商品は以下です。
推進工学<https://gakumon-tobira.stores.jp/items/67962672816e614726a61364>
総評
今回はばね-マス-ダンパ系の問題でした。やはりこの分野は推進工学でも良く出題される印象を受けます。問題設定としても参考書を開けば見たことあるような問題になっており、問題構成も小問7題というかなりの親切設計になっています。
この手の問題は前問の結果を利用することが多いため、前問が解けないと後の問題をまとめて失点することが多いです。一方で、小問構成にしてくれている分、解答の方針は立てやすく得点しやすいという特徴があります。
また、問題によっては前問の結果を使わなくてよい問題もあるので、難しい問題が出たとしても解答できる部分がないかの精査はした方が良いでしょう。
なお、問題文で”調和振動”というあまり聞きなれない用語を使っていますが、単振動のことを指しています。
難易度 ★★☆☆☆
本問はいずれも解答方針、計算量ともに求められているレベルはそれほど高いものではないうえに、題材そのものもよく見るようなものになっているので、本問はサービス問題の類になると思います。
受験生目線で考えればぜひ完答したい問題ではあるものの、計算ミスによる減点は他の受験生に対して点数的にリードを許す結果になりかねないと思いますね。慎重に対応しましょう。
難易度としては易しめの★2つとしました。
解答の指針
第1問
物体の絶対変位量をxとして運動方程式を立式すればOKです。図を描いて整理した方が良いでしょう。
第2問
第1問の結果から固有角振動数を求めましょう。
第3問
これは振動工学の学習をするうえでは大切な問題ですね。第1問で求めた運動方程式の解のうち、システムが減衰することなく振動するための条件を精査する必要があります。
振動はざっくり分類すると減衰するもの、発散するもの、常に一定の振動をするもの(単振動)に大別されるので、どの振動が数式でどのように表現できるのかを整理しておきましょう。
第4問
第1問との違いは支点も振動するようになるという点ですね。第1問~第3問の問題で受験生にこの問題の考え方を慣れさせ、第4問以降で支点と物体の連成振動を考察させるという構成になっています。
色々書きましたが、基本的な考え方は第1問と同じです。丁寧に図を描いて立式をしましょう。その際、第1問との違いがどこにあるかを意識しておくと後の問題が解きやすいと思います。
第5問
ご丁寧に変位倍率の定義を書いてくれているので、求める物理量を導出していきましょう。まずは前問で立式した運動方程式を解いていくとよいでしょう。
第6問
第5問で利用した式を流用しましょう。問題文ではx(t)とΦの関係が与えられています。さらに、x(t)の解の形は第5問でわかっているので、これらを利用するれば位相差は出せそうです。
第7問
第5問の結果を基に数値計算をします。文字通り、変位倍率が1以下になるときの条件を求めればよいので、不等式で表現します。後は計算すれば答えにたどり着けるでしょう。
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