東大 航空宇宙工学専攻 平成25年 固体力学(午前)

固体力学

 東京大学大学院 航空宇宙工学専攻 平成25年の固体力学(午前)についての総評と難易度、解答の指針についてまとめたいと思います。

本問の収録先商品は以下です。

固体力学<https://gakumon-tobira.stores.jp/items/679621f8bfa2872edfae50a9>

総評

 今回の問題は…かなりしんどいですね…。剛体壁とばねで固定されたL字梁の解析をする問題です。

 この問題はよくある梁の解析でやるように位置xの断面を考えて、曲げモーメントからたわみに関する微分方程式を解いたり、反力を求める…というアプローチをとるとかなりしんどい計算をさせられます。

 通常、この手の問題は歪エネルギーに着目し、カスティリアノの定理を用いて解答時間の短縮と計算ミスの予防を測ります。但し、今回出題者は前述した2通りのアプローチによる解法を各小問の中で要求しており、結果として全ての方法で解答する必要があるのでかなりしんどい計算を進める必要があります。

 恐らく出題者はエネルギー原理という考え方の重要性を受験生に実感してもらうためにあえてカスティリアノの定理の利用を含む2通りの解法を要求したのだと思います。

 そのため、本問の解答で要求される計算量は尋常な量ではないですし、梁にかかる力の検討漏れリスクや解答作成方針の見通しの悪さも考慮すると、よほど効率的に考察と計算を進めない限り大幅な時間ロスが生じると思います。

 また、小問構成も少なめで、部分点が発生しにくく、第1問の1を落とすと以降の問題は正答できない仕様になっています。こうした点も本問の難易度を上げている要因なのかなと考えています。

難易度★★★★★

 文句なしの★5難易度だと思います…。受験本番で出てきたら、捨て問題にするか、第1問の1と第2問を解いて、あわよくば第3問に手を出して逃げる…。という戦略が現実的かなと思いました。

 また、最初に問題文を読んだ際に難易度の高さを識別できたら、本問は後回しにして他の問題から解き始めた方が良いでしょう。

 いずれにせよ、解答時間の目安である1時間という時間で完答するのは非常に難易度が高いと言えるでしょう。

解答の指針

第1問

1.

 問題文で少しだけヒントをくれています。今、梁の先端(D点)にはばねがついているので、L字梁はねじりの力を受けています。

 また、D点はばねで支えられているので、弾性力がかかっています。一方A点は壁に取り付けられているので、モーメントの力を受けていることになります。

 以上を踏まえて、図で状況を整理するとともに、ABとBDとで場合分けをして考察を進めるとよいと思います。

2.

 D点のたわみを検討する必要がありますが、このたわみに影響を与えている要素は以下の3点です。

  • AB間の曲げによるB点でのたわみ
  • AB間の捩じりによるD点でのたわみ
  • BD間の曲げによるB点から見た時のD点のたわみ

以上の3点を整理して足し合わせればよさそうですね。

1つめと2つめは前問の考察結果を利用すれば比較的すぐに計算できそうです。

3点目は…重ね合わせの原理を使うとうまく場合分けをして計算が進められます。考えてみてください。

3.

 D点でのたわみ量による弾性力と反力Rに関する方程式を立てて、式の整理を進めましょう。

第2問

1.

 L字梁にかかっている力による歪エネルギーを整理して計算しましょう。

2.

 問題文の通り、前問の結果を基にカスティリアノの定理を使いましょう。

 一応、計算結果が第1問の3の答えに一致しなければ第2問の2または第1問の2,3のいずれかで検討漏れがあるということがわかります。(それぞれ検算する必要があるでしょう。)

第3問

 今、梁の断面は円形なので、断面2次極モーメントを導出して、断面2次モーメントを計算しましょう。これが導出できれば、垂直応力、せん断応力の計算が進められます。

 また、応力の最大、最小については…どのようなアプローチが有効か…ここで考えてみましょう。

 

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