東大 航空宇宙工学専攻 平成27年 流体力学(午後)

流体力学

 東京大学大学院 航空宇宙工学専攻 平成27年の流体力学(午後)についての総評と難易度、解答の指針についてまとめたいと思います。

本問の収録先商品は以下です。

流体力学<https://gakumon-tobira.stores.jp/items/679623a79b4c1904ae5e62aa>

総評

 水道の蛇口から出る水が台所のシンクに落ちた時の様子を考察するという問題です。身近な流体力学的現象に目を向けてほしいという出題し社の意図を感じました。

 今までの問題と違って全く航空宇宙工学っぽさはないですが、参考書にもほとんど載ってないような現象を題材として選ぶことで、受験生の流体力学に対する理解と応用力が問われていると考えています。

 本問を通した勉強も大事ですが、せっかく身近な環境でこの現象が確認できるので、一度はシンクやお風呂場等で本問の題材となった現象を観察してみてください!

難易度★★★☆☆

 参考書や過去問を応用することは難しいため、受験生の多くは初見の問題だったと思います。それでも流体力学の基本的な学習がしっかりできていれば、問題文の誘導をうまく使って解答を進めていくことができるでしょう。

 計算量としてもそれほど多くはなく、比較的解答の見通しはしやすいと思います。

 というわけで、本問は見慣れない状況設定で戸惑う要素はあるものの、手を付け始めれば解答の指針は比較的立てやすいと考えています。よって難易度は標準的な★3つとしました。

解答の指針

第1問

1.

 図2の検査体積領域に注目です。検査体積の入り口と出口部分の流体の様子を考慮し、問題文の指示通り、質量保存の式と運動量保存の式を立式します。

 流体力学の問題を考えるときは、大体この連続の式(質量保存則)と運動量保存則、ベルヌーイの定理を使うことが多いですね。

 解答に行き詰るようなら、上記の3つの式が立てられるか考えましょう。見慣れない状況設定であれば問題文に載っている図であっても自分で書き直してみると見落としている条件や特徴を認識することもできます。

 また、問題の状況設定が複雑であれば、微小領域を拡大して、力のつり合いやモーメントのつり合い、流体の挙動を図で整理するとよいでしょう。

 この微小領域の拡大図による整理は流体力学の他に、固体力学分野においてもよく使います。

2.

 まぁ、普通に考えて1の結果を使うんでしょうね。問題文の指示通り、まずは1の結果を連立させた後、問題文の条件を使ってHに関する方程式を作ります。

 ここまで来たら後は問題文の指示に従って求める条件と数式を算出していきます。

第2問

1.

 問題文の指示通り、ベルヌーイの定理を使うのですが…このままではイメージがつきづらいので、本問の状況設定を理解するために自分で図を描いてみることをお勧めします。

 前問までの結果などを考慮して分かっている情報を書き込んでいくと解決の糸口が見えるかもしれません。

 今回私の解答例では水面が盛り上がっている部分の微小領域について図で整理したものを載せていますので、参考にしてみてください。

2.

 問題文の指示通り、前問の結果を利用します。前問で導出した式はz(x),h(x),xに関する微分方程式です。これを使うということは、選択肢に描写されている水面の盛り上がりはじめの部分を解析して選択肢を選べばよさそうだという考えに至ります。但し、これだけでは選択肢が選べません。

 さらに前問で導出した式はfの関数になっているので、第1問の2を利用すればよさそうだということはすぐに気づくでしょう。

 最終的にはz,hまたはdz,dhに関する関係式が出せれば選択肢は選べそうですね。

 

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