院試に落ちたらどうなるのか?

大学院入試

 今回は院試に失敗した際に取り得る選択肢について説明していきたいと思います。大学院受験は大学受験と違って準備期間も短く、特に理工学系の大学院では内部進学する人がほとんどだと思うので受験に失敗する人は少ないと思います。

 但し、外部受験を考えていたり、研究活動が忙しすぎたりすると、ほとんど準備する時間が取れないので失敗した場合のことは考えていた方が良いかもしれません。

院試に落ちた場合の選択肢

 院試に落ちた場合の選択肢はざっくりいうと以下のような選択肢があります。

  1. 他大学院への出願
  2. 就職
  3. 学部4年生を留年して院浪
  4. 学部を卒業した後、研究生として院浪

では、順番に見ていきましょう!

他大学院への出願

 よくあるのは夏に行われる大学院入学試験の時点で他大学院や他の学科を併願しておく、または年末頃に実施される2次募集に応募するというものです。

 まず前者ですが、これはそもそも第一志望以外に試験日程の被らない他の大学院にあらかじめ出願しておくというものです。第一志望の大学院入試に失敗しても、他の大学院入試に受かれば少なくとも大学院で研究活動はできます。卒業すればもちろん学位ももらえます。

 恐らく大学院入試の中でも特に外部受験を考えている人はこの選択肢を選ぶ人が多いと思います。但し、いくつかのデメリットや注意事項があります。

  1. 準備に時間がかかる
  2. 大学院の試験日程が被っている可能性がある
  3. 院試の難易度が上がる

  順番に説明します。

  1. 準備に時間がかかる

 まず、大学院や研究室の情報収集にそれなりに時間がかかります。確かに卒論のテーマと似たような研究分野を探す場合は比較的探しやすいです。しかし一方で、自身の興味のある分野が今自身の所属している研究室と異なる場合は新たに研究室や教授を探すことになるので、時間がかかる傾向にあると思います。

 2. 大学院の試験日程が被っている可能性がある

 次に第一志望の大学院と日程が被っていない大学院を探す必要があります。院試の日程は時期は大体決まっているので、前年度の情報を基に候補となる大学院を探しておき、受験する年の募集要項を見て最終的に意思決定をするのが良いと思います。

 また、筆記試験が被ってさえいなければ筆記試験の出来具合を踏まえて、面接試験に出るか、別の大学院の筆記試験に出るのかを選べると思います。

3. 院試の難易度が上がる

 最後に入試対策の難易度が挙げられます。自身の所属する大学院でなければ過去問の解答を手に入れるのが難しい場合もあるので、早めに準備をするとよいと思います。

 後者の2次募集ですが、これは夏の大学院入学試験で学生の数が大学院の定める定員に満たなかった場合に実施される試験になります。欠員補充という観点が強いので枠が少ないのと、競争率が高めになるのが特徴です。基本的には併願も含めて夏頃に実施される院試を受験してリスク回避をする方が良いでしょう。

就職

 この先の自身のやりたいことやキャリアを実現するうえで大学院での研究活動や学位がそれほど重要でないと考える人はこの選択肢を選ぶかもしれません。

 但し、これもいくつかの注意事項があります。

  1. 就活と院試の両立は難しい
  2. 院試が終わってから就活をすると就職先の選択肢が狭まる

 具体的には上記の2点になります。

  1. 就活と院試の両立は難しい

 一般的に就職活動と院試を並行するのは準備にかかるリソースやスケジュールを踏まえるとお勧めしません。(内部進学する人であっても)院試の準備にはそれなりに時間がかかる一方で、就職活動も業界研究や自己分析、SPIの準備や面談練習、1dayインターン、履歴書の作成や面接など準備することが盛りだくさんです。

 この2つの両立を試みた場合、よほど事前に準備をしておかない限りどちらも中途半端な結果になってより一層判断の難しい状況に陥る可能性があります。

2. 院試が終わってから就活をすると就職先の選択肢が狭まる

 では、院試に専念し、結果がわかった後に就活をするとどうなるでしょうか…?答えとしては応募できる企業の数が減ります。

 就活のスケジュールは毎年変わりますが、総じて言えるのは就職活動で企業から内定をもらえるタイミングが最速で6月の第一営業日であるということです。企業としては優秀な学生を早期で囲っておきたいので、この6月前までに書類審査や面接を進め、事前に内定を出す準備をしておきます。特に大学からの推薦状を提出するタイプの選考は上記の通り6月時点では結果がわかります。

 自由応募の場合は6月から正式選考が開始されますが、院試の結果がわかる9月上旬頃では既にエントリーが締め切られている場合があります。

 なので、院試に落ちてから就職活動を始めた場合、推薦入試の枠が余っている企業か、自由応募でまだ定員を満たせていない企業の中から就活の候補企業を探していくことになるので、一般的な就職活動をしている学生と比較すると選択できる企業の数が少なくなります。

学部4年生を留年して院浪する

 院試に失敗した場合、故意に卒論を提出せずに留年し、もう1年院試の準備をするという選択肢です。これは第一志望の大学院・研究室が自身の所属している大学院・研究室である場合、他の大学院への進学を希望しない場合にとる選択肢かと思います。

 意図的に卒論を提出しないということになるので、事前に教授には相談したうえで合意を取り付ける必要があると思います。また、次に紹介する研究生という身分で院浪をするわけではないので、就活の面接で研究生とはなにか…というような説明をしなくてすみます。履歴書も多少は書きやすくなります。

学部を卒業した後、研究生として院浪

 前項の選択肢と違って、卒論を提出して卒業した後、研究生として研究室に在籍して院試の準備をするという選択肢です。

 まず、研究生はどういうものかというと、大学院が提供する授業は原則として受講できないが研究活動はできる…というものです。また、研究生には卒業という概念はなく、学位ももらえません。

 教授との相談により、あらかじめ決められた期間を設定して大学院事務に研究生としての登録をすれば研究生になれます。

 この選択肢のいいところは、以下のような点になります。

  1. 次年度の就活に切り替えやすい
  2. 所属する大学院・研究室を変更できる

これも順番に見ていきましょう!

  1. 次年度の就活に切り替えやすい

 大学の学部を卒業しているので次の年に気が変わって就職活動をした場合にもスケジュール上間に合います。研究を続ける過程で、大学院に進学するよりも企業に就職して社会人経験を早く積みたいと思うようになれば、院試の準備を就活に切り替えることができます。(もちろん教授との事前相談は必要ですが)

2. 所属する大学院・研究室を変更できる

 これも移動先の研究室の教授と現在所属している研究室の教授との調整は必要ですが、特段の理由がない限り、他大も含めて自身の所属先を変更することができます。

 例えば、研究生として登録している大学院の院試に落ち、併願先の他の大学院や研究科に受かった場合がこれに該当します。

 早く研究室を移動した方が進学先の大学院で長く研究ができるので、研究の進捗を稼ぐことができますし、修士論文の執筆に対する難易度が下がります。また、研究室の人間関係構築や教授との研究相談の要領を早く身に着けられるので、次年度以降の研究活動がやりやすくなります。

結局どの選択肢がいいんですか?

 色々選択肢を出しましたが、正直どの選択肢がいいのかは読者の皆さんの置かれた状況や意思に依存するので、万人共通の一般解は存在しません。

 但し、(外部の)大学院への進学を強く希望するのであれば私は最後に提示した研究生という制度を利用することをお勧めします。大抵どこの大学でもこの研究生という制度はあるので学部4年生時に大学院受験で失敗してしまった場合、検討してみるとよいと思います。

 私の場合、学部4年生時に所属していた研究室が教授の定年退職によりその年で閉鎖になること、元々他の分野の研究をしたかったこともあり、学部4年時に院試に失敗した後、研究生という制度を利用して研究室を移りました。

 今回の記事はここで終わりにしたいと思います。最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

 正直、受験生の皆さんには受験に失敗した時のことを考えずに目の前の院試の準備に専念してほしい気持ちもありますが、リスクヘッジも重要かと思いますので、この記事を書くに至りました。

 参考になれば幸いです。

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