こんにちは。宙野です。この記事では東京大学大学院 工学研究科が大学院入学試験で出題している複素関数論の対策について記載していきたいと思います。
数学の試験の全体概要については別記事にてまとめているので、そちらも参考にしていただければと思います。
出題の傾向
極や留数の計算、留数定理の利用による複素積分計算などが出題されます。また、左記に加えて線形写像などが出ることもあります。
難易度は?
東大の複素関数論は標準から難レベルの問題が多いような印象を受けます。留数定理を使うにしても経路設定を考えさせられたり、(少なくとも機械系専攻の学生にとっては)あまりなじみのない写像関連の話が出たりするので、手を出しにくい印象がありました。
私の場合は留数定理に関する問題が出たら解答できるように演習を積みつつ、写像についてはよほど難易度が低いと感じない限りは捨てる気でいました(もちろん勉強はしていましたが)。
どんな参考書がお勧め?
例によってここも勉強の最初のとっかかりとしてマセマをまずはやりこんでいました。
・複素関数キャンパス・ゼミ 改訂9 [馬場 敬之](マセマ出版社)
(出典:Amazon.co.jp)
私はこの分野が特に苦手だったので、他の分野と比較すると複素関数論に多くの時間を割いていました。演習も色んな参考書を使って積んでいましたが、以下の参考書を特によく使っていました。
・演習 複素関数キャンパス・ゼミ 改訂2 [馬場 敬之](マセマ出版社)
(出典:Amazon.co.jp)
この演習書もだいぶお世話になりました。複素関数の基礎事項を抑えるための基本問題が網羅されており、一通りやりこめば基礎は固められると思います。
但し、写像についてはマセマシリーズだけでは太刀打ちできそうになかったので、他の複素関数の分野も含めて以下の参考書で更なる演習を積んでいました。
・演習 大学院入試問題[数学]Ⅱ<第3版> [姫野 俊一/陳 啓浩] (サイエンス社)
(出典:Amazon.co.jp)
…この参考書は問題の難易度が高いので…最初に手を出すことはお勧めしません。ある程度基礎を固めて基本的な考え方が身についた段階で手を出すとよいと思います。
複素関数については、東大の院試問題に関連した類題だけでなくこの演習書に載っているものはなるべく網羅できるよう勉強を進めていました。
あとは、院生の先輩で仲のいい人が何人かいたので、質問して回ってたりもしました…
対策
まずは比較的やりやすい極や留数の計算、留数定理・ローラン展開あたりを優先して勉強を進めるのがいいと思います。ある程度固まったら過去問の解答を作成しつつ、都度自身の弱そうな分野を補強していくのがいいかと思います。
複素関数論の応用先
複素関数論はなんだかんだ言って便利なツールなんですよね。なのでこれも微分方程式と同様、いろいろな分野で適用されていますね。航空宇宙工学専攻を希望する方向けには特に以下の専門科目の対策を進める際に役立ちます。
- 固体力学
- 非圧縮性流体力学
- 粘性流体力学
- 制御工学(現代制御工学,古典制御工学)
- 航空機力学
- 振動工学
とりわけ印象的なのは上記の流体力学でしょうか。翼理論でよく利用されている印象がありますね。(翼だけに…)
航空機力学も翼理論に関するトピックでは複素関数論は利用するものの、院試の問題という観点で見るならそれほど使う機会はないかと思います。
制御工学や振動工学でも複素数は出てくると思いますが、留数定理や写像なんかをがっつりやるかというと…入試問題的にはそこまで深く関りはない気はします。固体力学も同様。
なので、流体力学の勉強を早く始めたい方は先に複素関数論を固めてしまうとよいかもしれません。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
それではまた次回お会いしましょう!
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