東大院 航空宇宙工学専攻 非圧縮性・粘性流体力学対策

流体力学

 こんにちは。宙野です。この記事では東京大学大学院 航空宇宙工学専攻の院試の専門科目である非圧縮性流体力学、粘性流体力学に関する対策をまとめた情報を提供します。

 専門科目の試験の全体概要については「東大 航空宇宙 専門科目について」という記事でまとめているので、そちらも参考にしていただければと思います。

出題の傾向

  非圧縮性流体力学、粘性流体力学からは主に以下のようなトピックが出題されます。

  • 2次元非圧縮粘性流体
  • 2次元非圧縮粘性流体
  • ポテンシャル理論
  • 3次元翼と渦糸
  • 渦理論
  • 薄翼理論
  • 境界層理論
  • 層流と乱流
  • 圧力勾配と速度分布
  • 風洞試験設備

 まぁ、ぶっちゃけ出題範囲が広いです。細かく見ていくと循環やベルヌーイの式、ナビエ・ストークス方程式、誘導抵抗や3次元翼などもトピックとして出てきます。また、出題の多くは空気力学ですが、水を題材にしたものも出たりします。

 上記で上げた理論に関連した式の導出や数値計算が出題される他、導出した式に対する考察や実際の流体の振る舞いと比較した論述、揚力発生の原理に関する論述なども出題されます。

 出題の考え方としては、実際の流体の挙動と非圧縮・粘性流体力学で学ぶ理論との差異を問うものや実験装置の使い方、身の回りの流体力学現象を題材に問題が作られているようです。

 

難易度は?

 私自身は大学時代、非常に厳しい先生(N村先生)にご指導を受けたこともあり、比較的容易に解答の自作に手を付けられましたが…扱うトピックも広く、航空宇宙工学専攻ではない学生目線で見るとなじみがないので難易度は高めに感じるかもしれません…。

どんな参考書がお勧め?

 私が受験生の頃は名古屋大学で教鞭をとられていた中村 佳明先生のテキストを使用していました。研究室のHPから誰でも無料でダウンロードできたにもかかわらず、非常によくまとまっていたテキストで重宝していました…

 中部大学に異動された後も異動先の大学のHPから無料でダウンロードできるようになっていたのですが、令和元年の退職に伴い入手できなくなったようです。申し訳ありません。

 他にもまとまっている参考書があれば紹介しますが、現時点ではお勧めできるほどの参考書が発見できていません。今しばらくお待ちください…。

対策

 まずは、ご自身が手元に持っている参考書でいいので、上記の出題の傾向で提示したトピックに関する内容を勉強しましょう。特に式の導出に対する考え方や論述練習をしましょう。

 白い紙を用意して式の導出に必要な流体の環境を図示してから式の導出を参考書を見なくてもできるようになるまで繰り返し練習しましょう。

 ある程度できるようになったら、過去問の解答作成に手を付けていくとよいと思います。

その他注意事項

 非圧縮性・粘性流体力学は圧縮性流体力学と比較してさまざまな理論や流体解析が出題されるので院試という観点で見ると対応難易度は上がると思います。

 また、複素関数を用いた写像やベクトル解析をある程度理解していないと、参考書に出てくる式変形の理解が追い付かなくなります。

 この分野の学習難易度を下げるために、まずは前述の数学の分野を固め、航空機力学や圧縮性流体力学を先に対策しておくと比較的手を付けやすくなると思います。

 <以下思い出話>

 名古屋大学の機械・航空宇宙工学科では学部2年生になると非圧縮性流体力学、粘性流体力学という授業が始まります。私が学生だった頃、授業を担当されていたN村先生はそれはそれは厳しい先生でした 笑

 カリキュラム上必修授業であるにもかかわらず、毎年受講生の半分が単位を落とす激ムズ授業でした(先生曰く、俺の授業は相対評価だからなぁ…とのこと)。でも自称仏のN村先生は4年生でこの授業の単位を落とした人には追試を受けるチャンスを与え、最後には卒業させてくれるという伝統がありました。

 4年生の追試を受けた人によると追試はちょっと問題が簡単になるのだそうで…(ちなみに私は幸運にもどちらも一発でパスしました…)。そういう背景もあり、他の専門科目と比較しても相当ガチ勉していたので、院試の流体力学は非常に対策がしやすかったのを覚えています。

 授業も面白かったですし、講義をしている先生が黙っているときの口の形がいい感じに曲がっているので、だんだん翼型に見えてくるのも面白かったですねぇ…(しんどくて幻覚が見えていたのかもですが 笑)

本日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました!引き続き勉強頑張っていきましょう!

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