こんにちは。宙野です。この記事では東京大学大学院 工学研究科が大学院入学試験で出題している線形代数の対策について記載していきたいと思います。
数学の試験の全体概要については別記事にてまとめているので、そちらも参考にしていただければと思います。
出題の傾向
大学の線形代数では主に以下の項目について学んできたかと思います。
- ベクトルに関する基本概念
- (主に)3×3や4×4の行列に関する基本性質
- 連立方程式への適用
- 線形空間・写像
- 行列の対角化・正準形
東大の工学研究科はこれらのうち、行列に対する対角化や固有値・固有ベクトルに係る出題が多い印象を受けます。また、年度にもよりますが、連立方程式を題材にしたものや、写像に関する出題もあります。
難易度は?
問題によりけりですが、行列の基本的な性質を理解していれば十分得点していける類のものが多いと思います。基礎事項を一通り固めたら過去問の解答作成や参考書などで演習を積むとよいでしょう。
但し、写像関連の問題が出てきた際には難易度が高めなことも多いので慎重に問題選択を判断する必要がありそうです。
どんな参考書がお勧め?
私はマセマシリーズの参考書を最初のとっかかりとして使っていました。
・線形代数キャンパス・ゼミ 改訂12 [馬場 敬之] (マセマ出版社)
(出典:Amazon.co.jp)
この本は大学で初めて線形代数を勉強する人でも理解ができるよう丁寧に解説してくれている本なので、復習するにはかなりお勧めです。私はこの本の読み込みと例題・練習問題をやってある程度正解できるようになったら過去問の解答作成を始めていました。
この本は例題や練習問題の解説も丁寧に記載されており、学んだ内容の理解を補強するのに効果的な役割を果たしていると感じました。但し、演習量は稼げないのでそこは注意が必要です。
次に、院試の解答を自作するなかで、完答できなかったものや、行き詰ったものが出てきたときに以下の参考書を使って演習量を確保していました。
・詳解と演習大学院入試問題 <数学> 大学数学の理解を深めよう
[海老原 円/太田 雅人] (数理工学社)
(出典:Amazon.co.jp)
すべての問題をこなすというよりもあくまで、解答作成の類題になりそうなものや、出題傾向に合致してそうな問題をピックアップして解くというスタイルをとっていました。
解説はそれなりに丁寧なので、基礎を抑えた人が取り組む分には比較的スムーズに演習が積めると思います。時間があるなら院試への対応力を付けるという意味でやりこんでもいいと思います。
他にもいくつか使っていた参考書はありますが、メインは上記の2冊と過去問、あとは他の大学院の入試問題を利用していました。
対策
東大の線形代数はとにかく固有値・固有ベクトルに関する問題を行列の対角化と絡めて出題するタイプのものが多かったので、上記のトピックは特に集中して対策していました。
固有値・固有ベクトルを求める過程で逆行列を求める必要が出てくるので、自分に合ったやり方を確立しているとよいと思います。
私は基本的に余因子展開による処理を好んで使っていました。サラスの公式も使えると思うのですが、試験本番でパニックになって公式を忘れてしまったり、間違えて覚えてしまったりするのが嫌だなと思ったので、余因子展開を使った掃き出し法をメイン武器として使っていました。
また、それなりに計算量があるので、普段の練習の時からなるべく計算ミスをしないよう工夫をしていました。計算処理は数式1行で1回とか、式変形もなるべく計算が多くならないようにするとか意識すると効果的かと思います。
線形代数の応用先
特に航空宇宙工学専攻向けですが、線形代数をある程度固めておくと、以下の専門科目の対策準備がやりやすくなります。
- 制御工学(古典制御工学・現代制御工学)
- 振動工学
- 固体力学
…なかなか色々なところに適用できますね…専門科目の攻略をする際に上記の分野を優先したいのであれば、院試対策の序盤で線形代数に手を付けるのはありかと思います。
ちなみに私は制御工学・振動工学が比較的得意だったので、数学は線形代数を一番最初に手を付けました。(専門分野も制御工学は優先して固めたかったので)
最後までお読みいただきありがとうございます。では、勉強頑張ってください!
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