こんにちは。宙野です。この記事では東京大学大学院 工学研究科が大学院入学試験で出題しているベクトル解析の対策について記載していきたいと思います。
数学の試験の全体概要については別記事にてまとめているので、そちらも参考にしていただければと思います。
出題の傾向
この分野は曲線の長さや面積分の計算の他に、回転体の表面積や体積を求めるタイプの問題が出題されます。また、パラメータ表示された関数(曲線や陰関数)の図示問題もよく出てくる感じですかね。
難易度は
正直この分野は難易度のばらつきが多いです。比較的解答の指針がすぐに立つものもあれば試行錯誤を要するものもあるので、問題選択は慎重に見極めましょう。
数学的な処理は基本的なものであっても解答方針がわかりづらい問題だったりすることもあるので、試験本番ではどの程度解答できそうか見極めが必要と思われます。
どんな参考書がお勧め?
勉強の手始めとしては以下のマセマシリーズの参考書を使っていました。
・ベクトル解析キャンパス・ゼミ 改訂7 [馬場 敬之](マセマ出版社)
(出典:Amazon.co.jp)
この本ではベクトルの行列式やベクトル値関数に関する説明から始まり、スカラー場、ベクトル場、線積分、面積分の基礎がカバーできます。
必要な操作や専門科目を解く上での最低限の数学的処理は上記で網羅できますが、数学の解答を作るという観点では大分不安があったので、以下のような参考書を併せて利用していました。
・解法と演習工学・理系大学院入試問題[第2版] [陳 啓浩] (数理工学社)
(出典:楽天ブックス)
この参考書では、実際に大学院の入学試験として取り上げられた問題が収録されており、東大を含む難関大学院の院試対策をするうえで役立つ参考書だと考えています。但し、これをすべてやっていくと多くの時間を費やしてしまうので、どこまでやりこむかは試験本番までのスケジュールを踏まえて判断する必要があります。
対策
例によって最初の基礎固めをマセマなどの基本的な参考書で実施するのが良いと思います。そのあとは過去問の解答作成を進めつつ、参考書で苦手なトピックの演習を積んだり、専門科目でよく必要となるテクニックの習熟を図るのが良いと思います。
時間的な余裕があるなら色々な問題パターンに慣れた方がいいので、参考書を中心とした演習を積むのもいいかと思います。
また、この問題では空間図形や平面図形に関する考察も必要になってくるので、普段から図を描く練習も併せてしておくことをお勧めします。
ベクトル解析の応用先
ベクトル解析の応用先について航空宇宙工学の専門科目を対象とした解説をしていきます。
基本的には以下の分野で必要となると考えています。
- 非圧縮性流体力学
- 航空機力学
- 電磁気学
- 固体力学
非圧縮性流体力学では支配方程式の導出の過程で∇(ナブラ)を使った計算もよく出てきますし、航空機力学も含めて翼の解析などでベクトルの微分を使ったりします。
電磁気学においても磁場や電場の解析にはスカラー場やベクトル場の計算、面積分等の知識が必要になると思います。
また、固体力学では上記に挙げた分野のほかにテンソル解析も必要とします(テンソルってどちらかというと線形代数の分野な気がしますが・・・)。
いずれにせよ、上記のような専門科目の分野の対策を進めたいなら、ベクトル解析を先に勉強しておくと後が楽かもしれません。
本日も読んでくださり、ありがとうございました。
数学の項目別攻略は次回の複素関数論でいったん区切りとなる予定です。
ではまた次回。
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