東大航空宇宙工学専攻平成19年流体力学(午後)

　東京大学大学院航空宇宙工学専攻平成19年の流体力学(午後)についての総評と難易度、解答の指針についてまとめたいと思います。

本問の収録先商品は以下です。

総評

　鈍頭物体周りにできる衝撃波に関する問題です。鈍頭物体周りの衝撃波の描画、圧力比、密度比の導出などが出題されました。

　衝撃波の描画は今回のような鈍頭物体の他に翼型やひし形、平板などの典型的な物体に関する衝撃波の描画が出題されます。今回の問題をきっかけに是非、関連知識の習得に努めてもらえたらと思います。

　全般的には参考書を見れば載っているような式変形や考え方で答えを出せるものが多く、圧縮性流体力学の参考書や過去問による演習量が点数に直結するような問題でした。

　多くの受験生がこの問題を選択し、それなりに高得点を取っていったのではないかなと考えています。

　総評でも記載しましたが、解答の方針が立てやすい問題が並んでおり、計算自体も見通しが立てやすいものでした。

　また、参考書などに載っているような典型的な式変形が多い印象を受けます。

　以上を踏まえて、本問の難易度は易しめの★2つとしました。

第1問

　鈍頭物体周りの衝撃波の描画をしましょう。ポイントは鈍頭部分と衝撃波の位置関係と衝撃波の概形です。最低限付着衝撃波と離脱衝撃波の違いが見分けられる程度の描写は必要でしょう。

　また、亜音速領域を描写する必要があるので、領域の位置と簡単な特徴は説明としてつけておくとよいかもしれません。

第2問

　エネルギー保存則を使うよう問題文で指示が出ているので、それに従って立式すれば大丈夫です。

第3問

　等エントロピー流れと淀み点というキーワードが問題文に記載されています。前問の結果を利用して式を整理すると答えは出せるでしょう。

第4問

　これもサービス問題の類です。問題文に従って、質量保存、運動量保存、エネルギー保存の式を立式しましょう。

　第2問と第4問は答えを間違うと、他の問題が正解できないので、慎重に解答しましょう。立式後の確認も重要です。

第5問

　この問題が、結構しんどいです。本問の中では一番計算量が多い問題ですね。前問の結果を基にP_shについて整理していけばよいので、まずは運動量保存則の式から式変形を進めると解答の指針が見えやすそうです。

　適宜エネルギー保存則の式や質量保存の式も連立させて式を整理していく必要があります。

第6問

　問題文を見ると、密度比をまず求める必要がありそうだとわかります。

　さらに、問題文で与えられた極限の式に注目すると、マッハ数を無限大にしたときの値が記載されています。

　つまり、与式は密度比をマッハ数の関数で表すことができれば、後はその極限をとることで題意の式を導出できればよいとわかります。

　…ということは…第4問で立式した質量保存則の式に注目すると密度比は速度比で置き換えられそうですね。後はご自身で考えてみてください。

第7問

　マッハ数と、中心線上の垂直衝撃波及び鈍頭物体との位置関係を説明する必要があります。これまでの勉強で学んだ内容を関係つに説明すればよいでしょう。100字以内という文字制限があるので、そこも注意しましょう。　