東大大学院 航空宇宙工学専攻|平成26年 流体力学(午後)の出題分析・院試対策

流体力学

 東京大学大学院 航空宇宙工学専攻 平成26年の流体力学(午後)について、出題内容、難易度、必要となる知識、過去問演習で押さえておきたいポイントを解説します。

平成26年午後の出題概要

分野: 圧縮性流体力学
主なテーマ: 平板翼、衝撃波・膨張波、空力中心、フラップ、斜め衝撃波
難易度: ★★★★☆

 平成26年 流体力学(午後)は、超音速流れ中の平板翼を題材として、衝撃波・膨張波から空力中心、さらにフラップ付き翼へと内容が発展していく問題です。

この年度で押さえておきたい知識

衝撃波・膨張波

 超音速流れ中の翼周りで、流体の圧縮・膨張によってどこに衝撃波や膨張波が生じるのかを説明できる状態を目標にします。式だけでなく、翼周りの流れを模式図として描ける程度まで理解しておくとよいでしょう。

 また、斜め衝撃波の物理的な特徴も併せて学習しておく必要があります。

圧力分布と空気力

 翼表面の圧力分布が、翼に作用する揚力・抗力・モーメントとどのようにつながるのかを理解しておきます。

 今回は平板翼が題材として選ばれましたが、ひし形翼等他の典型的な形状のものも周辺知識として押さえておくと対応力が上がります。

空力中心

 空力中心の定義を覚えるだけでなく、翼に働く力やモーメントとの関係から、空力中心がどのような意味を持つ点なのかを説明できる状態を目標にしましょう。

フラップ

 フラップを追加することで翼形状や流れ場が変化します。それが空気力やモーメントにどのような影響を与えるのかを物理的に考えられるようにしておくとよいでしょう。

各設問から何を学ぶべきか

 各小問ごとに学習上のポイントをまとめました。

設問学習上のチェックポイント
第1問平板翼周りに生じる衝撃波・膨張波の特徴を理解しているか
第2問微小迎角のある圧力分布と翼に作用する空気力の関係を理解しているか
第3問空力中心の定義と物理的意味を理解しているか
第4問フラップ追加による空力特性の変化を考察できるか
第5問斜め衝撃波に関する幾何学的・物理的関係を整理できるか

なぜフラップ付き翼の問題は難しいのか?

 等エントロピー流れや衝撃波前後の関係式導出は、圧縮性流体力学の参考書に例題や演習問題がいくらでも載っています。一方、フラップ付きの超音速平板翼を題材とした問題に触れる機会は相対的に見てもかなり少ないと私は考えています。

 但し、この問題で重要なのは、「フラップ付き平板翼の類題を解いたことがあるか」ではなく、それまでに学んだ翼周りの流れや空気力に関する知識を、新しい形状に対して応用できるかという点です。

 例えば、皆さんは平板翼の周りに発生する衝撃波については教科書や参考書で特性を勉強したと思います。

 また、平板翼に迎角がついた場合、衝撃波の特徴がどう変化するのかも数式と図を基に勉強してきたと思います。

 では、平板翼にフラップがつくことで結局元の平板翼と何が変わるのでしょうか?

 そう…迎角の値が変わってきますよね?(ここに気づけるかどうかが重要です!!)

 ということは、既存の学習事項を組み合わせ、発展させることでこの問題は解けるようにできているわけです。

 そのため、この設問を解けなかった場合、単純に「フラップについて勉強していなかった」捉えるよりも、既に持っている知識を未知の問題へ応用できたかという観点から振り返ることが重要です。

他年度の過去問との関連

超音速翼・衝撃波を復習したい場合

 H25年 流体力学(午後)は、今回出題された問題と同様に超音速流れ中の翼と衝撃波を扱っています。共通する考え方がある一方、平成26年では空力中心やフラップ付き翼へ内容が発展しているため、両年度を比較して演習すると理解を深めやすくなります。

→H25年 流体力学(午後)へ

斜め衝撃波の特性について重点的に復習したい場合

 斜め衝撃波の特性理解を深めたいという方はH21 年 流体力学(午後)の問題を使って復習するのがお勧めです。

 今回の問題では衝撃波前後における圧力比をマッハ数と比熱比を用いて表すところに焦点が置かれていました。一方、今回お勧めしているH21年の問題では、解答の過程で、衝撃波前後の速度比、密度比、温度比、マッハ数比、圧力比等重要な関係式の導出をすべて網羅できます。

→H21 年 流体力学(午後)へ

平成26年午後で苦戦した場合の復習ポイント

第1・2問で苦戦した場合

 衝撃波・膨張波や圧力係数など、超音速翼理論の基礎事項を復習しましょう。翼周りの流れと圧力変化を図にして説明できるか確認してみましょう。

 式については自分で導出できるようにしておきましょう。

第3問で苦戦した場合

 空力中心について、定義を覚えているだけになっていないか確認します。翼に作用する力・モーメントとの関係から、その物理的意味を説明できる状態を目標に復習します。

第4問で苦戦した場合

 平板翼について既に理解している内容を、形状が変化した問題(フラップが追加される等)に応用できるかという観点から復習してみましょう。

第5問で苦戦した場合

 斜め衝撃波について、流れの方向、衝撃波角、速度成分などの関係を図として整理できるように復習します。

 また、式の形を暗記するのではなく、衝撃波前後の物理量(圧力比、速度比等)を導出できるようにしておきましょう。当然ですが関係式の暗記はNGです。(記憶に残らない上に、結局問題で出題されても式の導出が必要となるためです。)

詳細な解答解説について

 本記事では、平成26年午後の流体力学について、出題傾向や他年度との関連、院試対策として押さえておきたいポイントを中心に解説しました。

 各設問の詳細な解答、数式の展開、計算過程については、流体力学の過去問解答解説教材に収録しています。

[平成26年午後の流体力学を収録した解答解説を見る]

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