東大 航空宇宙工学専攻 平成23年 流体力学(午後)

流体力学

 東京大学大学院 航空宇宙工学専攻 平成23年の流体力学(午後)についての総評と難易度、解答の指針についてまとめたいと思います。

本問の収録先商品は以下です。

流体力学<https://gakumon-tobira.stores.jp/items/679623a79b4c1904ae5e62aa>

総評

 流体の渦に関する問題です。機械系の流体力学でもよくあるトピックが題材として選定されており、手を付けやすいと感じた受験生は多いのではないかなと思います。

 渦に関する考察はデカルト座標よりも極座標の方がやりやすいので、座標変換が必要かな~と予測しながら問題文を読み進めていくと、序盤で極座標変換用の式が与えられていることに気づきます。

 渦の理想的なモデルに関する説明を読まされた後、渦度や流体の速度、循環に関する考察をさせ、グラフの描画を要求してきています。

 最後には面白い考察問題も出ているので、流体力学が好きな人は楽しめる1問となっています。

 

難易度★★☆☆☆

 題材そのものの親しみやすさもあり、問題の内容も参考書を開けば一度は経験したことがあるようなものになっていると思います。そのため、問題文を読めば解答のアプローチ方法は目途が立ちやすいようになっていると考えています。

 上記を踏まえると、多くの受験生が本問に手を付けた上でそれなりの正答率を確保した一問となったのではないかと推測しています。

 よって、本問の難易度は易しめの★2つとしました。

解答の指針

第1問

 問題文の超絶丁寧な誘導により、与えられた式を用いて渦度に関する偏微分方程式を極座標表示をすればよいわかるはずです。

 後はほぼ計算するだけですね。

第2問

 第1問で与えられた極座標表示の変換式と本問で与えられた流体の周方向速度成分の式を連立させれば解けます。

第3問

 第1問、第2問の説明により、半径r=aを境界点として流体の挙動が変わっていることに注意しましょう。この境界条件に沿って周方向速度成分をrの関数で表せれば、グラフは描けるはずです。

 本問は参考書でもよく出てくる重要事項なので、しっかり復習をしてください。

第4問

 本問は2通りの解法を提示しました。

(解法1)

 循環の定義に従って立式し、計算を進める。

 オーソドックスな方法であり、多くの受験生がこのアプローチで解いたのではないかなと想像しております。

(解法2)

 ストークスの定理を使う。

 あまりこの解法を使った人はいないかもしれませんが…数学でやり慣れている計算なので、安心感はあるかもしれません。

 計算量自体は解法1、解法2でほとんど差はないので、どちらを使っても大差はないかなと感じます。見直しの時の検算として、それぞれの解法を使うとよいかなと感じました。

第5問

 これはちょっと手が止まった受験生もいたかもしれませんね。一見すると何をしてよいかよくわからないような問題に出会ったときの対処法の一つとして微小領域を考えるという方法があります。

 これは体感ですが、流体力学や固体力学分野ではこの微小領域を考えて、そこにある物体にかかる力や応力のつり合い、モーメントのつり合いを考えると解答の糸口が見つかる場合がります。

 今回は前問までの考え方を考慮して、微小領域の流体に着目して、極座標表示で流体にかかる力を考えてみるとよいでしょう。

第6問

 これまで考察してきた問題の集大成になります。題意で与えられた渦のモデルを参照しつつ、回転方向の流体の速度と半径との関係性にも言及するようにしましょう。

 また、第5問でこの流体に関する圧力の考察をしているので、この内容も反映させると考察内容として必要な要素は網羅できるのかなと考えています。

 ちなみに、このラッパ状に見える渦は身近な現象として観察できます。皆さん想像できますか?

 一番わかりやすいのは、お風呂の水を抜くときに排水溝付近でこの現象を確認できます。(流体は水ですが)

 この問題を通して復習をする際に一度お風呂の排水溝付近を観察してみてください。

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