TOEFL iBT対策|東京大学大学院 航空宇宙工学専攻を目指す方へ

大学院入試

 東京大学大学院 航空宇宙工学専攻の院試では、外国語試験が課されており、英語を選択する方は英語能力の評価としてTOEFL iBTの公式スコアを提出する必要があります。

 数学や専門科目と異なり、英語は短期間で一気に実力を伸ばすことが難しい科目です。そのため、大学2~3年生など、できるだけ早い時期から対策を始めることをおすすめします。

 本記事では、TOEFL iBTの特徴から4技能それぞれの勉強方法まで、私自身の学習経験も交えながら紹介します。

※TOEFL iBTのスコア提出方法や提出期限、利用できる試験形式などは年度によって変更される可能性があります。実際に受験する際は、必ず東京大学大学院工学系研究科が公開する最新の募集要項を確認してください。

TOEFL iBTとは

 TOEFL iBTは、英語を母語としない人の英語能力を測定する試験です。試験時間はおおむね2時間で、次の4技能が評価されます。

分野評価される能力
Readingアカデミックな英文を読んで理解する力
Listeningアカデミックな英語を聞いて理解する力
Speakingアカデミックな英語で内容を伝える力
Writingアカデミックな英語で文章を書く力

 他大学でよく採用されているTOEIC L&RがListeningとReadingを中心とするのに対し、TOEFL iBTではSpeakingとWritingを含めた総合的な英語力が求められます。

 また、TOEFL iBTでは大学/大学院での学習を想定したアカデミックな内容が扱われるため、ビジネスシーンを想定したTOEICと比べても難しい語彙や複雑な文章に触れる機会が多くなります。自分の専門分野とは異なるテーマも登場するため、幅広い学術分野の英語に慣れておくことが重要です。

2026年からスコア体系が変更

 2026年1月以降、TOEFL iBTでは1~6の0.5刻みによる新しいスコア体系が導入されています。

 従来はReading、Listening、Speaking、Writingがそれぞれ30点満点、合計120点満点でした。現在は各技能とOverall Scoreが1~6で表示されます。

 なお、制度移行後も一定期間(2年間)は、比較のために従来の0~120点形式に相当するOverall Scoreがスコアレポートに併記されます。新旧スコアは単純な一対一対応ではないため、目標スコアを決める際にはETSが公開している最新のスコア情報を確認しましょう。

TOEFL iBTは早めに予約しよう

 TOEFLは受験日と試験会場を事前に予約して受験します。

 アクセスしやすい試験会場や希望する日程で受験したい場合は、早めに予約しておくことをおすすめします。院試のスコア提出期限から逆算し、再受験する可能性も考慮して余裕のある受験計画を立てておくと安心です。

 TOEFL iBTには、自宅で受験する「Home Edition」もあります。東京大学大学院工学系研究科ではTOEFL iBT Home Editionの公式スコアも受け付けていますが、受験環境や必要機材などを自分で準備する必要があります。

 私自身は、受験環境の準備や当日のトラブルへの対応などを考慮すると、特別な事情がなければテストセンターでの受験をおすすめします。

TOEFL iBT 対策

まず語彙と文法を徹底的に固める

 TOEFL対策では、4技能の勉強以前に語彙と文法の基礎を固めることが非常に重要です。

 特に語彙については、「見れば意味が分かる」というレベルだけでは十分ではありません。

見る → 意味が分かる
聞く → 意味が分かる
話す → 自分で使える
書く → スペルまで正確に書ける

という状態を目指しましょう。

 Readingでは単語を見て意味を理解する力が中心になりますが、Listeningでは発音された単語を瞬時に認識する必要があります。さらにSpeakingやWritingでは、自分から適切な単語を選んで使わなければなりません。そのため、単語帳を見て日本語訳を覚えるだけでなく、「聞く・話す・書く」まで含めて語彙を身につけることが重要です。(いわゆるアクティブ単語というやつです。)

 文法そのものを直接問う問題は今のTOEFL iBTにはないですが、複雑な英文を正確に理解したり、自分で英文を組み立てたりするためには文法力が必要です。なので文法ができないと必然的に前述の4技能で高得点を出すのが難しくなります。

 教材については、まずETSが提供・出版している公式教材や公式問題を中心に学習することをおすすめします。実際の試験形式や問題のレベルを把握するうえでも、公式問題は重要な教材になります。

Reading対策

 Readingでは、自分の専門分野以外の学術的な英文にも慣れておく必要があります。

 航空宇宙工学を専攻しているからといって、工学系の文章だけが出題されるわけではありません。自然科学はもちろん、歴史や芸術、哲学など、普段は日本語でもあまり読まない分野を扱う可能性があります。

 そのため、普段からさまざまな分野の英文を読む習慣をつけましょう。

 公式問題を使った演習に加えて、英語で書かれた論文や学術的な記事を読むことも練習になります。内容を理解することだけを目標にするのではなく、知らない分野の文章から「何について説明しているのか」「筆者が何を主張しているのか」を読み取る練習をするとよいでしょう。

Listening対策

 Listeningでは、日常的な会話だけでなく、学術的な内容を聞き取る力が重要です。

 普段から英語による講義やニュースなどを聞き、さまざまな分野の英語に触れておきましょう。公式問題以外では、海外大学が公開している講義動画や英語ニュースなどを利用する方法もあります。

 あと、私がおすすめする練習方法がディクテーションです。

 これは、聞こえてきた英文を実際に文字として書き起こす練習です。自分が聞き取れなかった音を具体的に特定できるため、「実際に発音されている英語」と「自分が頭の中で認識している英語」のズレを見つけやすくなります。

 聞き取れなかった部分を繰り返し確認し、「知らない単語だったのか」「単語は知っていたが音として認識できなかったのか」「文章の速度についていけなかったのか」まで分析すると、その後の学習内容を決めやすくなります。

Speaking対策

 Speakingは、普段からどれだけ実際に英語を話しているかが重要です。

 Speakingでは、内容を分かりやすく伝えることに加えて、語彙・文法・発音・話し方なども評価されます。そのため、難しい表現を無理に使って文章を崩すよりも、まずは自分が正確に使える語彙と文法を使い、内容を明確に伝えることを優先するとよいでしょう。

 英語を話せる友人がいるなら、学術的なテーマについて定期的に会話や議論をするのもよい練習になります。一人で練習する場合には、ChatGPTなどの音声会話を利用する方法もあります。ちなみに私は今も昔もボッチなのでChat GPTと一人英会話をして練習しています。

 また、自分のSpeakingは必ず録音して聞き直すことをおすすめします。

 「話しているときには気付かなかった文法ミス」「不自然な間」「繰り返している表現」などを客観的に確認できます。あとはよくありがちな「あー」とか「えー」といった無駄な音ですね。録音するとわかりますが、慣れていないと意外と入っているので、意識して修正していく必要があります。

 さらに、TOEFLでは出題形式を事前に把握できるため、回答するときの基本的な流れをあらかじめ練習しておくことも有効です。ただし、文章を丸ごと暗記するのではなく、意見の提示、理由の説明、具体例といった回答の骨組みに使えるフレーズだけ覚えて、出題されたテーマに合わせて内容(使用する単語)を変えられるようにするとよいでしょう。

Writing対策

 Writingでは、英語力だけでなく、限られた時間の中で論理的な文章をタイピングする力も必要です。

 文法やスペルの正確性だけでなく、文章全体の構成や考え方のつながりも意識しましょう。

 試験中は、普段使用しているofficeのwordアプリのように、文法や語彙の誤りをすべて自動的に指摘してもらえるとは限りません。そのため、自分自身でタイプミスや文法上の誤りに気付き、修正する力を身につけておくことが重要です。

 そのため、普段から時間を決めて英文を書く練習をすることをおすすめします。本番を想定して、文章を書き終えた後に見直しの時間を残す練習もしておきましょう。また、英文を考える速度だけでなく、タイピング速度も答案作成に影響するため、英語でのタイピングに慣れておくことも大切です。

 私自身はChatGPTにテーマを作らせ、制限時間内に英文をタイピングした後、その文章をレビューさせる練習も行っていました。また、英語が得意な人に定期的にアウトプットを確認してもらうことも行っていました。

何点を目標にすればいい?

 目標スコアについては、高ければ高いほどよいものの、航空宇宙工学専攻については、まず最新年度の募集要項や評価結果の提出時期を確認したうえで目標を設定した方が良いでしょう。

 そのうえで1つの目安となるのが旧スコアで言うところの80点ではないかなと考えています。(新スコアではoverall4.5)

 というのも、一般的にはTOEFL iBTでoverall4.5ほど取れれば(他の評価要因にもよりますが)海外の大学院への進学を考えられるスコアになってくるからです。(そういう意味では他の受験生と比較してもそれほど大きく後れを取るとは考えづらいでしょう。)

 90点以上取れている人がいるならむしろ今すぐ東大の受験なんて考えるのをやめて海外の大学院へ進学した方が良いのではないかなと筆者は考えています。大学生には様々な奨学金の応募機会がありますし、現地でTAやRAといった金銭面のサポートも色々あります。

 特に航空宇宙工学専攻は海外の大学院のシラバスを見れば授業の選択肢も多く、実践的なカリキュラムになっているので選択肢の1つとして考えてもよいのではないかなと考えています。

 一方で、TOEFL iBTのスコアは他の試験科目の準備時間とのバランスも考える必要があります。自分の現在の英語力と他科目に必要な勉強時間を考えながら、現実的な目標を設定しましょう。

TOEFL iBTは勉強時間の確保が重要

 私自身、社会人になって海外のエンジニアと技術調整をする機会が増えたこともあり、現在もTOEFLの勉強を続けています。

 本格的に勉強する前は旧スコア換算で64/120程度でした。当時は、毎日4時間程度の残業に加えて、隔週で休日出勤することもある勤務状況でした。その中でも、可能な限り1日4時間程度の英語学習時間を確保し、この生活を約1年間続けた結果、旧スコア換算で80/120程度まで伸ばすことができました。

 もちろん、必要な勉強時間やスコアの伸び方には個人差があります。しかし、私自身の経験では、かなりの時間を勉強に費やしても、TOEFLのスコアは短期間では簡単に伸びませんでした。

 でも想像してみてください。逆に1日4時間の勉強を1年間やってもこの程度しか伸びないのです。スコアが上がれば上がるほどもちろん伸びにくくなります。

 最近は周囲から英語学習について相談を受ける機会も増えましたが、相談内容を聞いていると、その大半が勉強方法以前に、十分な学習時間を確保できていないように見受けられます。

 スコアが伸びずに悩んでいるのであれば、勉強方法を次々と変える前に、まず自分が十分な学習時間を確保できているかを確認してみてください。

 そのうえで、「語彙が不足しているのか」「Listeningで音を認識できていないのか」「SpeakingやWritingのアウトプット量が不足しているのか」といった弱点を分析し、勉強時間の配分を調整していくことが重要です。

 TOEFLは一朝一夕で攻略できる試験ではありません。だからこそ、院試直前ではなく、できるだけ早い段階から継続的に勉強することが重要です。

 今後も、私自身がTOEFL iBTを受験・学習する中で得た知見や気付いたことを、本サイトで順次紹介していく予定です。

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