東大航空宇宙工学専攻平成21年流体力学(午後)

　東京大学大学院航空宇宙工学専攻平成21年の流体力学(午後)についての総評と難易度、解答の指針についてまとめたいと思います。

本問の収録先商品は以下です。

総評

　今回は斜め衝撃波の問題でした。この問題もよく題材として取り上げられます。図を描くこと、衝撃波前後の圧力比、速度比、温度比、密度比、マッハ数比辺りは整理できるようにしておく必要があります。

　計算の式変形は手順が多いものの、問題によってそれほど大きく変わるわけではないので、やり込んだ分だけサービス問題に変貌します。

　第2問では、航空機にかかる抵抗の種類とその説明が問われています。参考書やネットで学んだ内容に基づいて説明を記述すれば問題ないでしょう。

　計算量は多いものの、典型的な問題パターンで構成されており、式変形後の形も有名なものなので、計算結果が間違っているかどうかも判断しやすいのではないかなと思います。

　この手の問題は過去問演習や参考書による演習が有効です。演習量が効果を発揮する問題なので、計算ミスによる失点は他の受験生にアドバンテージを渡してしまう結果になりそうです。

　以上を踏まえると、本問の難易度は標準的な★3つが妥当と考えました。

第1問

　マッハ角に関する定義の確認です。自身の理解しているマッハ角という概念を説明すればOKです。但し、字数制限がついているので、解答後の文字数確認はしておいた方が良いと思われます。

　これは頻出問題です。斜め衝撃波の絵を描いて衝撃波前後の速度を幾何学的関係に基づいて整理しましょう。ポイントは斜め衝撃波に平行な流体の速度成分です。

　本問はベルヌーイの式を利用するとよいでしょう。垂直衝撃波の圧力比の式を斜め衝撃波向けに式を変形してもよいのですが…解答としては前者の方が丁寧な気がします。

　まずは衝撃波下流のマッハ数を求めていきます。連続の式と第1問の2を利用しましょう。マッハ数は…音速と流体の速度で表現できます。これらを求めるにはどうしたらよいでしょうか？考えてみてください。

　衝撃波前後の淀み点の圧力比が1になればよさそうですね。…というわけで、衝撃波前後の淀み点圧力を出していく必要がありますが、すぐには出てきません。

　まずは淀み点圧力を衝撃波前後の圧力で表現できる方法を考えるとよいでしょう。

第2問

　航空機の翼にかかる抵抗の種類を列挙し、それらについての説明を記載する必要があります。特に時数は指定されていませんが、簡潔に記載するよう問題文で指定されているので、多くても2～3文程度で書ききるようにするとよいと思います。(1文でも十分だと思います。)