東大 航空宇宙工学専攻 平成24年 流体力学(午後)

流体力学

 東京大学大学院 航空宇宙工学専攻 平成24年の流体力学(午後)についての総評と難易度、解答の指針についてまとめたいと思います。

本問の収録先商品は以下です。

流体力学<https://gakumon-tobira.stores.jp/items/679623a79b4c1904ae5e62aa>

総評

 本問では薄翼理論とフラップ付きの翼に関する考察が出題されました。前半は死守できそうですが…後半ははしんどいですね…。

 参考書を探してもあまりフラップがついた翼に関する流体力学上の特徴について説明してくれている参考書が見つからず、苦労しました。

 後半の問題では、フラップ付きの翼について、揚力係数の導出やプレーンフラップとファウラーフラップに関する揚力係数、対迎角に関する考察を求められます。

 この後半の問題についてですが、最近興味深い本を購入したので紹介しておきたいと思います。

(出典:Amazon.co.jp)

 著者は「航空機力学の基礎」という名著を生み出してくださった片柳先生です。上記の本には翼のフラップに関する説明が記載されており、フラップ機能に対する理解を深められるのでお勧めです!(筆者もまだ読んでいる最中なので、読み終わったらまた改めて紹介してもよいかもと考えています。)

難易度★★★★☆

 前半の薄翼理論は多くの人が得点できそうではあるものの、後半のフラップに関する考察は難易度が高いのではないかなと感じました。

 これまであまり参考書を探しても有益な情報を拾えなかったこと、過去の出題実績を見ても過去10年程は出題されてなかったように見受けられるため十分な対策を施している人はいなかったのではないかなと推測しています。

 そうした背景を踏まえると、本問において受験生の特に後半部分に対する正答率はそれほど高くはなかったと推測しております。従って、本問の難易度は難しめの★4つとしました。

解答の指針

第1問

 薄翼理論に関する丁寧な説明と誘導がなされています。翼表面上に渦列が配置されていると仮定します。この渦列によって下向きの速度が誘起されますが…今、薄翼理論を考えているので、この下向きの速度を打ち消すための速度成分が必要になるはずですね。

 上記を基に計算を進め、翼表面上の流れが平板翼に平行になるように式を整理すると…答えが出ます。

第2問

 問題文に従って、まずはx=0.75cにおける下向きの流体の速度を求めましょう。第1問での考え方を利用して立式し、Γについて解くと…揚力が導出できるようになります。

 後はこれを使って揚力係数を導出し、αで微分すれば揚力傾斜が出せます。

第3問

 平板翼とフラップのそれぞれに着目し、第2問で揚力を導出した考え方を利用しましょう。

第4問

 ファウラーフラップに関する考察です。問題文の通り、この翼は以下の2つのモードに分けて考察を進める必要があります。

  1. ファウラーフラップが収納されているとき
  2. ファウラーフラップが展開されているとき

 まず、ファウラーフラップが主翼に収納されているときは第2問の検討モデルと同等なので、この結果が使えます。

 次に、ファウラーフラップが展開されているときですが、これは第3問の考え方を応用して揚力の導出をしてみてください。

 上記でそれぞれ求めた揚力係数とαの関係についてグラフで示せば答えとなります。

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