東大航空宇宙工学専攻平成25年流体力学(午後)

　東京大学大学院航空宇宙工学専攻平成25年の流体力学(午後)についての総評と難易度、解答の指針についてまとめたいと思います。

本問の収録先商品は以下です。

総評

　本問では斜め衝撃波とひし形翼を絡めた問題が出題されました。ひし形翼は平板翼と同様よく題材として取り上げられるので、本問を参考に演習量を確保した方が良いでしょう。

　序盤では、誘導として垂直衝撃波の場合を考えさせています。第2問では斜め衝撃波に対する幾何学的関係に対する理解が問われています。出題者は第1問の状況設定をうまく利用させようとしているようですね。

　第3問ではひし形翼周りの衝撃波と膨張派の図示及び抗力Dの算出です。

　全体として計算量は控えめです。斜め衝撃波と垂直衝撃波の基本的な理解とひし形翼周りの衝撃波、膨張波及び圧力状態がわかっていれば解答はできるはずです。

　解答の見通しのよさ、計算量を考慮すると、制限時間(見直し込みで1時間)内での回答は十分可能だと感じました。

　ひし形翼関連の問題は知っていないと解答がきついですが、主要な参考書を開けば大体は取り上げられているトピックなので過去問演習にとどまらず、しっかり学習を進めていれば十分解答可能です。

　以上より、本問の難易度としては易しめの★2つとしました。

第1問

　問題文の指示通り、衝撃波前後の流体について質量保存と運動量保存速の式を立式して連立させましょう。

　不安な方は状況設定の理解のために図を描いておくとよいでしょう。

第2問

　図1の状況を自分で整理して、斜め衝撃波の前後の流体について、衝撃波に平行な成分と垂直な成分に流体の速度を分解しましょう。あとは幾何学的な関係に着目して式を整理するとよいでしょう。

　問題文の指示により、θが微小である点に注目です。tanβをマッハ数で表すときに少し技巧的な操作を要求されます。この操作について知らない方は解答を確認してサッと処理できるよう練習しておいてください。

第3問

　衝撃波と膨張波の図示ですが、これは知っているかどうかの問題です。知らなかった方は手持ちの参考書を読み返すようにしてください。

　余談ですが、ひし形翼の各部分で圧力分布がどうなっているかも調べておくと対応力が上がると思います。是非調べてみて下さい。(平板翼もね！)

　ひし形翼の紙面に垂直な成分における抗力Dを求めろ…という問題です。抗力と言いつつ、このひし形翼周りに生じる抗力は流体の圧力分布によるものですね。

　…では…この抗力に相当する圧力が分かれば…答えは出せそうです。考えてみてください。